就活生に人気の広告代理店。ITの登場で、業界はどう変化していくのか?
「就活人気ランキング」などでも高い人気を誇る、電通・博報堂などの広告代理店。
広告代理店のリアルに迫るべく、前回に引き続き、新卒10年目の現役社員、梅原さん(仮名)にお話を伺いました。
あらゆる業界に大きな影響を与えている「IT化」。広告業界においても、サイバーエージェントやオプトなど「インターネット広告代理店」が頭角を現しているように、IT化による影響は非常に大きい様子。
マスメディアの縮小・衰退なども騒がれる現在、大手広告代理店は先行き不透明という声も?
そんな中、大手広告代理店は、どんな取り組みを行っているのでしょうか?また、今後の広告業界は、どのように変化していくのでしょうか?
広告代理店・インターネット広告代理店の志望者必見の記事となっています!
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広告代理店、業界はネット広告の傾向に?
―前回は「広告代理店の仕事内容」についてお話を伺いました。
今回は「広告代理店・広告業界の今後」について伺っていきたいと思います。
やはり今、大きく話題になっているのが「ネット広告」の重要性や成長性。サイバーエージェントをはじめとした企業が勢いに乗り、就活においても「人気ランキング」に入って来るような企業となっていますよね。
大手広告代理店は、そういった業界の変化に対して、どのような取り組みを行っているのでしょうか?
梅原:大手広告代理店も、各社もちろん「ネット・デジタル」の領域に取り組んでいます。
逆に言えば、ネット広告の領域には取り組まざるを得ない、とも言えるでしょうか。
―「取り組まざるを得ない」ですか...。
梅原:インターネット広告市場が急成長している、という話を聞いたことがある就活生も多いのではないでしょうか。
広告市場の大きさを測る指標として、テレビ・ラジオなどの各媒体に対して、日本全国の企業がどれだけ広告費を投下しているか、というものがあります。
参考程度に具体的な数値を挙げておくと、毎年テレビ広告にかかっている広告費は、約2兆円弱。
この「広告費用」を年ごとに見てみると、テレビや新聞、ラジオといったいわゆる「マスメディア」の広告費用は、現状維持であったり、縮小傾向にあったり。
例えば、新聞の購読者が減っているという話は、皆さんも耳に馴染みがあるのではないでしょうか。
発行部数や購読者数が減れば、それだけ広告の力が落ちてしまうわけですから、新聞の広告規模が縮小していってしまいます。
一方で、「インターネット広告」は非常に好調。
毎年10%以上の成長率を維持していて、数年前までは数千億だった広告費も現在では約1.5兆円。数年後にはテレビ広告の規模を超えると言われています。
―成長し続けるインターネット広告の市場で、シェアを取っていかなければいけないということですね。
梅原:そうなんです。テレビ・雑誌・新聞・ラジオといった4マスメディアに強みのある広告代理店ですが、雑誌・新聞といった従来のメディア市場が縮小している現在、このまま普通に過ごしていては、会社としての売上も縮小していってしまいます。
そうした現状を打破し、企業として成長していくためには、デジタル・ネット広告の領域で営業活動を進め、シェアを獲得することが必須になるんです。
大手広告代理店の取り組みは?
―インターネット広告というと、サイバーエージェントといった会社が有名で、大手広告代理店というイメージはあまり無いような...。でも、もちろんデジタル領域への取り組みを進めているんですよね?
梅原:そうですね。各社デジタルの領域への取り組みを強めています。
広告代理店でトップの規模を持つ電通も、「電通デジタル」という子会社を設立したことは記憶に新しいです。他の代理店も、子会社の設立やデジタル系の部署を設立するなど、業界全体として取り組みを強めています。
とはいえ、先ほど挙げていただいたように、サイバーエージェントなど、インターネット広告の制作に非常に大きな強みを持つ広告代理店もいれば、近年、特に欧米では、アクセンチュアやデロイトといった大手コンサルティングファームも、広告の領域で活躍をしていますから、業界の競争は簡単なものではありません。
―コンサルティングファームも、広告業界に進出しているんですか!? 詳しく聞かせて下さい。
広告業界における、広告代理店とコンサルの激しいシェア争い
梅原:「コンサルティングファーム」というと、どのようなイメージがあるでしょうか。
みなさんがお持ちのイメージに近いと思うのですが、コンサルティングファームは「戦略を立てる」「経営指標を分析して、施策を考える」といったプロセスには大きな強みがあります。
そして、アクセンチュアのような大手コンサルティングファームは「システム・テクノロジー」の領域にも強いため、自社で開発したデータツールを使用し、そのデータを企業活動に活用する、といったことも。
それら強みが、インターネット広告の領域においても活きるんです。
持ち前の「経営についての知見」によって、顧客の「マーケティング・広告の戦略」を設計する。そして、その戦略に基づき、インターネット広告の施策を運用していく。
そして「システム・テクノロジー」の強みを活かし、大量の広告データを保有することで、こういった広告は成果が高い・低いといった解析を行うことで、顧客の成果につながる広告を制作・配信することができる。
こういった強みを活かして、広告の領域でも近年活躍の幅を広げています。
大手コンサルティングファームが、クリエイティブ領域の企業を買収し、広告領域により力を入れていくだろう、といったニュースも、調べればたくさん出てきます。
広告業界、各企業の強みと弱み
―そうなんですね...。それでは、大手広告代理店は、この先大変かもしれませんね...?
梅原:確かに、広告業界でシェアを伸ばし続けるのは、簡単なことではありません。
ただ、広告代理店・インターネット広告代理店・コンサルティングファームといった勢力の中でも、それぞれ強み・弱みのようなものがありますから、大手広告代理店はもうダメなのか、というと、そんなことはありません。
先ほど、コンサルティングファームは、戦略の立案や、データ・ツール活用に強みがあると述べました。
サイバーエージェントなど、インターネット広告代理店は、イメージ通り、インターネット広告の領域を専業として長年積み上げた知見を強みとして持っています。
では、我々大手広告代理店はどうでしょう。
デジタル広告にも、もちろん力を入れていますが、専業の大手ネット広告代理店と比べれば、その領域での力は劣るかもしれません。
戦略やテクノロジーという面では、コンサルティングファームに劣るかもしれません。
しかし、大手広告代理店はマスメディアに圧倒的な優位性を持っています。
例えば、テレビで広告を出したいと考えたら、必然的に大手広告代理店に制作依頼をすることになります。
すると、クライアント企業が「テレビでも、デジタルでも広告を出したい」と考えていた時。マスメディアをフックに、デジタル領域での広告案件を同時に獲得するというケースは多々あります。
マスメディアにおける強みは、ネット広告への営業案件を獲得する際にも非常に有利になるんですね。
もちろん、そこで「ネット広告も弊社で出来ます」「戦略立案も任せてください」と言えるだけの力は必要になりますから、これからもデジタル領域や、その他の領域への注力は必要となります。
―マスメディア広告での売上は非常に大きいですし、そこからデジタル領域に売上をつなげていければ、成長の余地はまだまだあるわけですね。
梅原:今お話ししたように、何らかの強みを持って、企業からの案件を獲得できるかどうかは、大手広告代理店のみならず、インターネット広告代理店、コンサルティングファームなども含め、業界にいる企業全てにとって重要になります。
「広告市場」というものの全体を捉えてみると、企業のマーケティング・広告費用というのは、景気が極端に向上しない限り、増えることはありません。
つまり簡単に言えば、限られた市場で、どれだけシェアを獲得できるかとも考えられます。
そして、その市場はITの登場によって、大きく変化している。
就活生の皆さんにも、広告業界・広告代理店を志望されている方は数多くいらっしゃると思います。
そう言った方々は、ぜひ広告業界の変動、その中で各社がどんな取り組みを行なっているのかを知っていってほしいなと思います。
目の前の企業は、現在どのような強みがあるのか。その強みを生かし、現在はどういった成果を残しているのか。
デジタルの登場で変化をしていく業界の中で、どのような見立てをし、どのような戦略を立て、どのような取り組みを行っているのか。
そして現場社員はどう仕事に取り組んでいるのか?
そういったことを知ることで、各企業の魅力や、将来性を捉え、自分のキャリア・仕事選択に活かしていってほしいなと思います。
―梅原さん、ありがとうございました!
前回、梅原さんが広告代理店の業務内容を語った記事は以下から
大手3社の違いを知りたい方はこちら
*広告業界を志望している学生のための先輩内定者ESはこちら 電通_ ES(2020卒) 博報堂_ ES(2020卒)
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