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外コンエリートの口癖「自分の可能性を広げておきたい」は言い訳に過ぎない

旧帝大から早慶までの「上位5%」に属する、最優秀層の就活生にキャリア選択にまつわる本音を聞く本シリーズ。今回、インタビューしたのは、東京大学4年生(文系、19卒、男性)のNさんだ。有名外資系戦略コンサル2社、五大商社1社から内定を獲得しながらも、いずれも辞退したという。その本音とは? 前編では「外コン」に対する本音に迫った。

サマーインターンで変化した外コンのイメージ

―Nさんは、外コン志望者なら誰しもが第一志望とするような、超有名外資系戦略コンサル2社から内定を獲得していますね。外コンはどのくらい本気で目指していたのですか?

Nさん:本気で目指していたというより、なんとなく、だったかもしれないですね。「行くなら、外資系戦略コンサルがいいな」と考えていましたが、特に明確な理由があったわけではありません。頭のいい人が集まっているから、話が合いそうと漠然としたイメージを抱いていただけでした。

学部時代は体育会系の部活に打ち込んでいたので、実際に就活をスタートしたのは3年生の7月から。サマーインターンでは外資系戦略コンサルをメインにやっていました。

―外コンのサマーインターンはどうでしたか?

Nさん:うーん、そうですねえ。それまで外コンの方とは接触する機会がなかったのですが、インターンで実際にお会いしてみて、イメージが変わりましたね。

―どう変わりましたか?

Nさん:はっきり言って、「(優秀な方々だけど)一緒に楽しくは働けないだろうな」と。理由は2つありました。一つは、外コンである以上「使われる側の思考」であること。つまり、コンサルティングですから、クライアントである事業会社から「いつまでにこういう戦略を立ててきて」とオーダーをもらって動く立場なわけです。もちろん、その立場に誇りを持って働いている優秀な方々もたくさんいらっしゃいますが、私が接した社員の中には、使われる側に甘んじている人も少なくないな、と感じました。

やっぱり、仕事って、これから社会に出て40年、50年と続けていくものですから、私の中では社会の中でひと旗取りたいという気持ちが強いんです。でも、外コンの面談でその想いを語った時に「燃えてるねえ」とどこか冷ややかな反応をされて。会社ではかなり上のポジションの方でしたが、正直、「それで人生楽しいのかな」と思っちゃいました。

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「もう外コンはいいや」と結論するまで

―サマーインターンで「外コン」に対するイメージが変わったとのことですが、その後も違和感を覚える場面があったそうですね。

Nさん:最終的に外コン2社から内定をもらったのですが、そのうちの1社の、最終の意思確認のための面談でこんなことがありました。面談の相手は役員クラスの方だったと思います。「(ジョブは)どうだった?」と聞かれて、私は正直に「あんまり面白くなかったです」と答えました。すると、途端に雰囲気が険悪になってしまって(笑)。それで役員の方から「じゃあ、それは(うちの会社に)合ってないんだと思う」と言われました。

―ひと口に「外コン」と言ってもカルチャーは違うかもしれないですが。

Nさん:もちろんカルチャーはそれぞれ違います。内定をもらった2社のうち1社はかなり体育会系のノリでしたし、もう1社はもっと落ち着いた雰囲気でした。でも、根本的な部分は同じなんですよね。どことなく「使われる側の思考」が染みついていて、「とりあえず可能性を狭めずにいよう」という、エリートにありがちな決断の先延ばしを続けてしまっている人が少なくなかった。

外コンを目指す人って、よく「自分の可能性を広げておきたい」って言いますよね。でもそれって、ただ決められないだけだと思うんです。人生で何かしようと決断し行動するということは、イコール自分の可能性を狭めることですから。可能性を広げたままの人は、何も決断していないんです。サマーインターン以降、外コンで実際に働いている人の中に、そういうタイプが結構いることが見えてきて8月末の時点で「もう外コンはいいや」ってなっていました。

「とりあえずの決断」をする東大生を減らしたい

―「自分の可能性を広げておきたいから外コン」という選択する、高学歴層は確かに少なくない印象です。

Nさん:そうですよね。例えば、東大生にもそういう志向の人は多いんです。東大は入学時に学部を決めなくてもいいので、「とりあえず勉強ができるから東大」というノリでやりたいことを絞らないままに入学する。でも、結局2年生の「進振り」でも決まらず、文系なら「就職に有利そうだから、とりあえず経済」と、また決断を先延ばしにしてしまう。そして、そういう学生が就活では「優秀な人材が集まる場所だから、とりあえず外コン」という選択をするわけです。

「とりあえずの決断」をしてしまいがちな東大生の意識を変えていきたい。就活を終えた私が後輩学生に就活のアドバイスをしているのも、そういう想いからですね。東大生は、ゆくゆくは日本社会を支えていく人材です。そういう人材が、「自分の可能性を広げておきたいから」という耳ざわりのいい表現で、何も決断しない人生を送れば、日本の未来は死んでしまう。そんな切実な問題意識を感じていますね。

―Nさんご自身が最初は「なんとなく外コン」という感じで就活をスタートされた反省もあって、後輩にはより主体的なキャリア選択をしてもらいたいという想いがあるんですね。後編では、外コンと並んで優秀層に人気の就職先、商社に対する本音を聞かせてください。

(構成:青山裕子)

ーNさんが「商社」について語る、次回記事は以下から

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