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【企業分析】数字はウソをつかない。数字で企業を判断する財務分析の手法

自己分析に並び、就活において重要な作業の1つ「企業分析」。自分にあった業界や会社を見つけるために、業界・企業に関する様々な情報を集め、企業分析を行います。しかし企業分析と聞いて、なにを調べればいいのか、ピンとこない就活生も多いでしょう。 そこで今回は、企業分析とはなにか?その説明に加えて、企業分析の中でもとても重要な手法の一つ「財務分析」についてお話します。

企業分析の目的とは?

企業分析の目的には、大きく分けて以下の3つがあります。 ①企業の特徴を理解すること ②自分との相性を見極めること ③選考を突破すること

① 企業の特徴を理解すること まず重要なのは、業界や企業に関するさまざまな情報を獲得し、いろいろな側面から研究し、その企業の特徴を理解することです。

1口に企業といっても、その事業内容、企業規模、社風、勤務条件などはそれぞれの企業によって大きく異なります。例えば、同じ業界の会社でも、安定志向の企業もあれば、リスクをとって先手先手でビジネスを行っている企業もあります。

そのため、まずは情報を集め、1つ1つの企業を様々な側面から企業分析し、その企業や業界全体にはどのような特徴があるのかを理解する必要があります。

② 自分との相性を見極めること 企業や業界の特徴を理解したら、次は自分とマッチする業界・企業はどこなのか、それを見極めることが重要です。

例えば、ファーストキャリアでは自分のスキルをとことん磨き上げたいと考えているのに、安定志向の社員ばかりがいる企業に入っては、成長角度は鈍化するでしょう。

自分はどのような企業に就職したいのか、その条件と照らし合わせ、最もふさわしい企業を見極められるようになりましょう。

③ 選考を突破すること 企業や業界の特徴を理解し、自分が最も行きたいと思う企業・業界を見極めることができたら、あとはその企業に実際に入社できるよう、選考対策を入念にするのみです。

ここでも、「企業の選考フローの理解」、「企業が求めている人材の理解」など、企業分析を行い、どのような対策をしたら選考を突破することができるか研究する必要があります。

また企業分析を通じて、「自分と企業との相性」や「同業界の中でも企業間の違い」を知っておくことで、志望動機などの準備が非常に進みやすくなります。

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数字で企業分析を行う「財務分析」の手法

以上のように、企業分析ではさまざまな角度から企業を分析する必要があります。企業分析の方法としては、

・OB訪問や企業説明会に行き、実際に社員の話を聞く ・関心のある企業のインターンシップに行き、実際に働いてみる ・就活メディアや会社評価サイトを利用する ・企業や業界に関する情報誌である「四季報」を読む

など、さまざまな方法で情報を得ることができますが、なかでも非常に有用な企業分析の方法の1つが「財務分析」です。

財務分析とは、企業の「財務データ」という客観性が高く、かつ信頼性の高い情報を用いて、"定量的"に、すなわち自分の主観や感覚ではなく、数字で企業分析を行うというやり方です。

「財務分析」を行うべき、2つの理由

財務分析と聞いて、「難しそうで無理だ」と感じた方。財務分析は、なにも難しい数式を使ったり、微分・積分を使うなんてことはありません。基本的な四則演算を理解していれば誰でも簡単に行うことができます。

記事の後半に、そのやり方をはじめての方でもわかるように1つ1つ解説していますので、どうか安心してください。

まずはその前に、なぜ企業分析において財務分析という、とっつきづらいものをする必要があるのでしょうか、その重要性を説明したいと思います。

財務分析をすべき理由。それは大きく2つあります。

  1. より客観的で正確性の高い分析ができる 財務情報は、株主などに対して公開しなければいけない非常に厳格なデータ資料です。ゆえに、財務情報は非常に信頼性の高い情報になります。

「OB訪問をする」、「インターンに行く」などを通して、定性的に企業分析することもとても重要です。しかし同時に、信頼のおける財務情報を用いて、より正確に、定量的に企業分析することで、企業についてより詳しく、正確に理解することができます。

  1. 企業を丸裸にすることができる 1でも述べましたが、財務情報は厳格なデータ資料です。そのため、当然ですが、企業はウソをつくことはできず、ありのままの企業の経営状況をデータ資料として示す必要があります。いわば、企業を丸裸にすることができるのです。

もしかしたら、安定志向の経営方針をとっているのに、企業説明会ではより多くの就活生を獲得するため、「弊社はチャレンジ精神を重要視しています」という説明がされるかもしれません。

また、倒産寸前にもかかわらず、その事実を隠し新卒を取る企業があるかもしれません。(実際に昨今、企業倒産により内定が取り消されてしまった学生が、メディアで大きく取り上げられたこともありました。)

しかし、数字はウソをつかない。財務情報を用いて企業分析すれば、企業は今までにどのような変化をたどってきたのか、これからどのように変化してくのか、社長や経営層はどのようなことを考えているのか、こういった多くの客観性の高い情報を得ることができます。

故に、就活生は企業分析において、財務分析をする必要があるのです。

財務分析に欠かせない資料とその集め方

財務分析は、主に「IR資料」と呼ばれる、企業が株主向けに作成した情報資料をもとに行います。

基本となる資料は、以下の3つ。

・損益計算書(PL) ・貸借対照表(BS) ・キャッシュフロー計算書(CF)

・損益計算書(PL) ...企業が特定の期間において、どれだけ収益を上げたかを表す資料。

・貸借対照表(BS) ...企業が持っている財産(資産・借金)の状態を表す資料。

・キャッシュフロー計算書(CF) ...企業の一定期間における、キャッシュ(現金など)の流れと、企業が保有しているキャッシュの量を示す資料。

財務分析は、主に以上の3つの情報資料からのデータを用いて行います。

これらのデータは、上場企業のホームページにある「IR資料」(投資家向けの財務資料)、または日本の企業の情報開示システムである、EDINETで見ることができます。 (EDINETの利用方法については、各自調べてみてください)

実践!財務分析のやり方

ファイナンスで企業分析するときには、大きく3つの指標について、それぞれの項目から考えていきます。

①成長性指標 ②収益性指標 ③安定性指標

以下に1つ1つ、はじめての財務分析をする就活生の方でも理解しやすいように解説していきたいと思います。

① 成長性指標

成長性指標とは文字通り、企業がどれだけ成長しているのかを見る指標です。

成長性指標を見るための指標は、主に2つ。

・増収率、増益率 ・投資活動のキャッシュフロー

・ 増収率、増益率 増収率、増益率。この指標は、シンプルに売上と利益が伸びているかを、前年比で見た数字です。

基本的には、売上や利益が伸び続けていれば、企業は成長。反対に衰退していれば、事業が縮小しているということになります。

・投資活動のキャッシュフロー 財務諸表の中の1つである、キャッシュフロー計算書の「投資活動によるキャッシュフロー」からは、投資活動によって会社に入った、または出ていったお金の流れがわかります。

投資を行った場合はマイナス、反対に株や固定資産を売却し、現金に変えたならプラスになります。

一般的に、企業が成長のフェーズである場合、設備や子会社などに積極的に投資するため、投資活動のキャッシュフローはマイナス。反対に、事業が縮小しているときには、設備などを売り払い、そこで得たお金で負債の返済をするため、キャッシュフローはプラスになります。

このようにして、企業の事業が成長しているのか、それとも衰退しているのかを確認することができます。

「若いうちから裁量権を持って働きたい」 「ファーストキャリアは、成長企業の中に入って事業を作る力を養いたい」 そういった考えを持っている学生は、これらの指標をよく確認するといいでしょう。

② 収益性指標

収益性指標とは、企業がどれほどの利益を獲得しているのかを測る指標であり、企業がお金を儲ける力、「経営力」を調べることができます。

収益性を測る代表的な指標は、以下の4つ。

・売上高、経常利益、当期純利益 ・営業活動のキャシュフロー ・売上高利益率(粗利率) ・総資本経常利益率

・売上高、経常利益、当期純利益

財務諸表の1つ、損益計算書には、収益を示すさまざまな情報が記載されています。どの情報も重要なのですが、なかでも就活生にとって特に重要なものが、「売上高」、「経常利益」、「当期純利益」の3つです。

「売上高」とは単純に、企業が事業活動によって稼いだお金の合計のことをいいます。500円の商品を、1年間で1万人に売った際、手もとに入ってくる500万が売上高です。

売上高からは、企業の規模を測ることができます。

つぎに「経常利益」とは、営業利益(売上高から原価と経費を引いたもの)に、本業以外の収支を足したものです。本業以外の収支の例としては、利息や配当金など、金融関係の収支があります。

この指標は、本業活動に加え財務活動も含めた、企業の総合的な経営力を表す指標です。

最後の1つ、「当期純利益」は、売上高から経費や税金を引いたあと、最終的に企業のもとに残る金額です。この数字が、企業の営業活動の最終的な成果、すなわちいくら儲かったか否かを表します。

これらの「売上高」「経常利益」「当期純利益」を確認することに加え、各値を企業の従業員数で割った、「従業員1人あたりの」売上高や利益を確認することで、生産性や社員のモチベーションが高い企業かどうかを見分けることもできます。

・営業活動のキャシュフロー 「営業活動のキャッシュフロー」は、キャッシュフロー計算書の中で、最も重要な項目です。 なぜなら、この指標は本業によって得た現金の増減を示すからです。

この値がプラスになっている場合、本業は順調であることを示し、そこで得た利益をもとにして、さらに投資を行ったりすることができます。

対して、この値がマイナスの場合、本業以外の活動によって足りない分を補わねばなりません。継続的にマイナスが続く場合、倒産の可能性も出てきます。

就活生は、企業分析の際には、自分の興味のある企業の「営業活動のキャッシュフロー」がプラスなのかマイナスなのかを、必ず確認するようにしましょう。

・売上高利益率(粗利率)

売上高利益率(粗利率)=売上総利益÷売上高

「売上高利益率」は、売上高に対する、売上総利益の割合を示す指標です。

企業は、売上高から原価を引いた売上総利益(粗利)をもとにして、社員の給料を払ったり、広告を出したり、投資活動を行ったりしています。その売上総利益が全体の売上高に対してどれだけの割合を示すかを表したのが、この指標です。

この割合は、業界によって大きく異なるので、一概に比べることはできませんが、同じ業界内でも利益率に差があることがあります。

なぜ業界ごとに利益率が異なるのか?なぜ同じ業界でも利益率に差があるのか?そのようなことを研究することによって、業界の構造理解や、企業ごとのビジネスモデルの違いが見えてきます。

1つの例として、この指標から企業がどれだけ付加価値をつけて商品を販売しているかを見ることができます。

例えば、同じビール業界でもA社は粗利率が30%なのに対し、B社は60%である。 このことから、A社は薄利多売の経営スタイルなのに対し、B社はビールにA社よりも付加価値をつけて、ハイブランド化して販売していることがわかります。

このように利率を調べることで、業界や企業の違いを客観的に研究することができます。

・総資本経常利益率

総資本経常利益率=経常利益÷総資本×100(%)

「総資本経常利益率」とは、投下した資本に対して、どの程度利益を生み出すことができたかを表す指標であり、企業の資本運用力、すなわちお金を増やす能力を見ることができます。

例えば、業界内のどの企業を志望しようか迷った場合、各企業の総資本経常利益率を比較することによって、どの企業がもっとも利益を生み出す力があるのか、ある程度検討をつけることができます。

このように、収益性の指標を確認することで、企業ごとの経営力や生産性を、より正確に理解することができます。

収益性の指標は1部「四季報」などにも載っていますが、より正確に理解するため、さらに掘り下げて上に挙げたような指標を自分で調べ、研究してみるといいでしょう。

③ 安定性指標

最後に、安定性指標とは企業の安定性を見る指標です。

「倒産の恐れが少ない、安定した企業に入りたい」と考える安定志向の学生や、「成長企業に入りたいが、念のためリスクを把握しておきたい」という就活生は、この指標を見るといいでしょう。

安定性を測る代表的な指標は、以下の3つ。

・自己資本比率 ・流動比率  ・当座比率

・自己資本比率

自己資本比率=自己資本(純資産)÷総資本 「自己資本比率」とは、総資本のうち、返済不要である自己資金が何%を占めるかを表す指標です。この指標を見ることで、企業の借金が多いのか、少ないのかがわかります。

この数値が高いほど、企業は無借金に近く、会社の経営は安定しており、倒産しにくい企業とみなすことができます。一般に、自己資本比率が40%を越える企業は、倒産しにくい企業と言われています。

・流動比率

流動比率 =流動資産 ÷ 流動負債×100%

この指標は、企業の短期的な支払い能力を示します。すなわち、この指標を見ることで、急に支払いが必要になったときに、どの程度企業が対応することができるのかがわかります。

資産には、現金や預金のように、支払いに使うことができるもの(流動資産)と、建物や土地のように、すぐにはお金に変えられないもの(固定資産)があります。負債も同じように、すぐに払わなければいけないもの(流動負債)、そうでないもの(固定負債)があります。

流動比率は、この流動資産と流動負債のバランスを表す指標です。

倒産しないためには、当然ながら負債に対して、資産が多いほうがいい。 一般に、流動負債に対して、120%程度の流動資産があれば、問題ないとされています。 150%を越えるような企業は、非常に健全な経営をしていると言えますね。

1つ例を見てみます。「JAL」は2010年に経営状況の悪化により経営破たんしました。その直前の流動比率を調べてみます。

2007年 3月末(破たんの3年前)→ 107% 2009年12月末(末破たんの直前) → 62%

これより、破たんの直前には、流動比率が大きく低下し、短期的な支払い能力が大きく下がっていることがわかります。

このように、企業の流動比率を調べることによって、その企業は突然の危機に対応することができるかどうかをある程度見分けることができます。

・当座比率

当座比率=当座資産÷流動負債×100%

当座比率は、流動比率に非常に似た指標ですが、もう少し厳しいものです。

先ほど説明した流動資産には、商品や原材料などが含まれていました。しかし、これらの資産は、「商品が売れずに、在庫として残ってしまった」、「結局売れず、廃棄となってしまった」などの理由により、お金にならないリスクがあります。

当座比率とは、そのようなお金にならないリスクのある資産を除外してもなお、当座資産が流動負債を上回っているかどうかをチェックする指標です。

一般に、当座比率は100%を超えていれば問題ないと言われています。

このように、安定性の指標を確かめることによって、興味のある企業は安定していると言えるのかを、定量的に企業分析することができます。

変化の大きいこの時代。財務データのみで安定性を測ることはできませんが、少なくとも「言葉」よりも正確に判断することができます。

そのため、企業分析においてはこれらの指標を必ず確認するといいでしょう。

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