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【現役社員インタビュー】過労死で問題になった広告代理店の労働環境。その現状を聞いた

就プロの読者にも人気の業界である、「広告代理店」。しかし、過去には”過労死”の問題で世間を騒がせたこともありました。果たして現在の広告代理店の労働環境はどのようになっているのか?あれから改善されたのか?現役の広告代理店社員に聞いてきました。

広告代理店といえば体育会系・アゲアゲ系。でも今ブームなのは〇〇

―労働時間についてお聞きする前に、まず広告代理店で働く人にはどのような人が多いのかお聞きしたいです。

広告代理店といえば、体育会系や、華やかなイメージ。実際にはどのようなタイプの社員が多いですか?

木村:これは、広告業界というか、私の会社に関して良く言われていることですが、行動力のある人や凝り性の人は多いですね。 僕も入社前からそういうイメージを持っていたのですが、入ってみて結構そのままだなと感じました。

それとは別で、入社してから感じたこととしては、一言で言うと、「1つのことに本気でコミットしたことのある人」がとても多いです。 例えば、趣味のダンスを極めた人とか、スタートアップを何社も立ち上げた人とか。体育会系も一定数いますが、コミットしたものがスポーツであるという捉え方のほうが良いかもしれません。

また、そういった人が多いので、付随して ・やる気がある人 ・負けず嫌いな人 ・チャレンジ精神のある人 が多いなととても感じます。「この人は今までの人生なにしてきたのかな」みたいな人は誰一人いなくて、みんな「私の人生はこれでした!」というものを持っているイメージです。

あと、どの社員も「コミュニケーション能力」にはとても長けていますね。コミュニケーション能力と言っても、単に話がうまいだけでなく、同期や上司、クライアント企業の方、みんなから好かれるコミュニケーションが取れる。そんな社員が多いと思います。

コミュニケーションのところに関連して。

質問いただいたように、アゲアゲ系の社員も、もちろん一定数います。仕事よりも、夜の宴会のほうで本領を発揮する人とか(笑)

ただ、面白いのは、最近ではそういった社員だけではなくて、真面目で大人しめの社員も増えてきたことです。

それは、話題のデジタル広告が進んでいることもあって理系採用が増えているからです。

今、広告業界では、デジタル広告の分野でいかに勝ち抜くかが1つのテーマになっています。そのため、どの企業も、プログラミングができたり、システムに詳しい理系学生を今まで以上に欲しています。

文理混合のキャンパスで学生時代を過ごしている人ならわかると思うのですが、理系の学生って、どこか文系の学生よりも落ち着いていて、冷静沈着な雰囲気があるんですよね。 最近では、そういった雰囲気の社員を、社内でもより見かけるようになったかなと思います。

なので、もし広告代理店に興味があるけど、「自分はコミュニケーション苦手だから、、、」とか、「アゲアゲの感じは苦手だから、、、」という思いからエントリーを迷っている学生がいたら、ぜひ避けないでエントリーしてみてほしいです。

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―次に社員の方のモチベーションについて。大手企業では、どうしても生ぬるい環境に浸ってしまっている社員もいると思いますが、広告業界ではどうでしょうか?

木村:ほかの業界と同じように、やる気のある人とない人で、大きく二極化してしまっていると思います。

日系企業なので、クビにされることはほとんどないため、のほほんと仕事をしている人もいます。

反対に、「何時間でもいいから、俺にその仕事をやらせろ!」みたいなモチベーションの高い社員もいます。あくまで感覚値ですが、内訳は半々くらいだと思います。また、そのだらけてしまう社員の割合は、年次が上がれば上がるほど、高くなっていると思います。

ーそれはなぜなんですかね? 木村:能力の差・限界を感じてしまうんだと思います。

若いうちは、同期のあいだであまり能力差はないんですけど、もともとの素質・能力の差とかもどうしてもあって、年月が経つにつれてそれが顕著になっていくんですよね。

それが顕著になって、もう他の同期に追いつけないと諦める人が、どうしても一定数出てしまうんです。でも、企業自体は日系企業だからとても居心地がいい、社員も一緒にいて心地いい人が多いから、みんな会社には残る。そういう意味では、良くも悪くもある程度優しい職場だと思います。

ニュースでも大きく取り上げられた過労死問題。その現状は?

―話変わって。

広告業界といえば、就活生のなかには「激務」、「残業」といったワードを頭に思い浮かべる人も多いかと思います。実際、過労死などの問題も大きくニュースになりました。 まずはじめに、木村さんは月にどのくらい残業をされていますか?

木村:正直なところ、忙しい時期とそうじゃない時期で大きく差があって、僕の場合、 残業時間は40~100時間くらいです。平均すると60時間くらいだと思います。出勤日には、毎回3時間くらい残業していることになりますね。ということは、1日11-12時間くらい会社にいる計算になります。

ただ、休日出勤はめったになく、1年に1回あるかどうかです。

―やはり他業種に比べて残業時間が長くなっていますね。一体なぜ広告業界では残業が多くなりがちだと思いますか? 木村:「上司・クライアントの期待に答えたい」っていうマインドがみんな強いんだと思います。

弊社の上司は、とても面倒見の良く、優秀な方が多いです。自分たちのことをよく見ててくれて、僕たちがまだ行けるという顔をしていれば、「よしもっと頑張れ!」って言うし、つらそうな顔をしていると「いいよ、休め」ってなる。

で、さきほど話しましたが、広告業界に入る人は、負けず嫌いの人がとても多いんです。みんな、上司の期待に答えて、早く一人前になりたいっていう思いがある。だから、仕事を抑えたくなくて、残業しガチになってしまうのかなと思います。

だから、残業は嫌々やっているって言うよりは、早く成長するぞっていう気持ちでやっている人が多いように感じます。眠いし疲れるけど、いやいやっていう感じではないように私は感じます。

実際、優秀な上司やクライアントの方から成果を褒められたときの達成感はとても大きいです。これがやりがいと言っても過言ではありません。その達成感を求めて、みんな努力しているんだと思います。それと、優秀な上司を見て、その人みたいになりたいと憧れて、勝手に努力しているという側面もあると思います。

いつも迷うんですよね、、、この業界のブラックな面っていうのは、もちろん直すべきなんだけど、直したら負けるんじゃないかなとも思うんです。

広告業界って、過労死の問題があってから、過剰にブラックって見られがちだけど、あくまで個人ベースのところもあって、個人が成長したい!頑張りたい!って主体的に働いている場合もあるから、必ずしも一概に労働時間だけでブラックっていうふうには判断できないのかなとは個人的に思います。

広告業界でよく耳にする、クリエーティブ思考とは?

ー労働時間が長くなってしまっているのは、広告業界で働く人の性格も関係しているのですね。

最後に。広告業界では、よく「クリエーティブ」という言葉を耳にします。クリエーティブとは、具体的にどのようなスキルなのでしょうか?

木村:クリエーティブとは日本語で「創造的」。つまり、既存の枠組みや固定概念にとらわれず、自由にアイディア・解決策を生み出す能力のことを指します。

例えば、クライアントとのプロジェクト推進において、クライアントの人たちは優秀な人達が多いから、真面目に解決策を考えちゃう。「この意見はこういう障壁があるから、、」とか「これは実現可能性が低いから、、」とかでアイディアを消してしまう。

我々の役目は、そういった真面目な意見だけじゃなくて、独創的な、奇天烈な(ある種不真面目な) 意見も、本気で考えて、ちゃんと出すこと。それが一つのクリエーティビティ。その発想奇抜だねとか、面白いねっていうものを出すのが、広告業界の役割。真面目なアイディアはコンサルティング業界に任せればいい。そこも大きくコンサル業界と大きく違うところかなと思います。

ー広告業界で働く人の人柄、そして残業問題。広告業界のリアルな裏側をお話いただき、ありがとうございました!次回は、広告業界編のラスト、学歴編。

関西の中堅私立大学出身の木村さんは、いかにして広告業界の内定を勝ち取ったのでしょうか?また、入社後、学歴フィルターを感じたことはあるのでしょうか?最終回もリアルな内容となっていますので、ぜひ見てみて下さい!

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