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業績不振が叫ばれるグリー。業績を分析してみると、その実態は超優良企業?

メガベンチャーとして就職活動界隈でも一斉を風靡したグリー株式会社。近年では主力事業であったブラウザゲームの市場が縮小したことから、業績不振が叫ばれ、良い評判を聞くことは少なくなりました。しかし、業績を定量的に分析してみると、まだまだ企業として高い業績を残していることがわかります。今回は、そんなグリー株式会社の分析をしていきます。

不振が語られる株式会社グリー。その実態は、まだまだ一流企業?

DeNAやサイバーエージェントと並ぶメガベンチャーとして、就職活動界隈でも一斉を風靡したグリー株式会社。その急激な成長速度だけでなく、社員の知的生産性の高さや待遇の良さなども人気となり、一時期は就職活動で圧倒的な人気を誇る外資系企業や総合商社などの内定を辞退し入社する学生も多かったと言います。

ところが、近年では主力事業であったブラウザゲームの市場が縮小したことから、業績不振が叫ばれ、ネット上では悪い評判を語られたり、また就職活動生などの間でも、良い評判を聞くことは少なくなりました。

先行しているイメージが印象に残りがちですが、実際の数値を分析してみると、業績は確かに下降傾向である中でも、きちんと一定の業績を上げている企業であるということも分かります。当記事では、イメージに左右されるのではなく、客観的な視点を持つ為に、具体的な業績について分析をしていきます。

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近年のメガベンチャー3社の業績は?

まずは、近年の動向を大枠で確認してみましょう。 業種や事業内容にも違いがあるため参考程度にはなりますが、比較対象となることの多い、いわゆるメガベンチャー3社、グリーに加えて、DeNA、サイバーエージェントの売上推移を見てみます。

2011年度決算では売上1500億円前後にまとまっていた3社ですが、売上額だけを見ると、明暗が分かれる形になりました。順調に売上を伸ばしているサイバーエージェント、2012年をピークに売上1500億円前後を推移するDeNA、売上下降傾向にあるグリーという結果になっています。

次に、3社の経常利益の推移を見てみましょう。

驚異的な利益額を誇っていたDeNA、グリーですが、ゲームプラットフォームの衰退と共に、利益額を落としています。一方で、サイバーエージェントは、広告代理業という利益率の低い事業ながら、売上を着実に伸ばした事で、経常利益も高い水準に向上しています。

売上だけを見ると大きな差がありますが、各社の利益率に差がある事から、経常利益ベースでは、そこまで大きな差は無いようにも見えます。(とはいえ、数十億規模の差があるのですが...)

グリーの最盛期から現在までの業績推移を確認。

次に、グリーのここ5年での業績推移を見ていきます。

ちなみに、それぞれの指標について簡単な説明をしておくと、営業利益は、売上高から人件費や広告費などのコストなどを引いた、いわゆる本業のビジネスの業績を表すものです。

経常利益は、営業利益に、受取利息などの営業外収益、銀行への借金に対して支払う借入利息などを足し引きしたもので、資産運用や借金などを含めた事業全体の業績や収益性を表すものと言えます。

さらに、純利益とは、そこから土地の売買などで発生する臨時的な特別利益や特別損失、加えて重要なのが、法人税を差し引いたものを表します。

確かに表を見ると、業績は下降傾向にあります。詳細を見てみると、2012年には売上1582億円、経常利益819億円、営業利益率は52%と、驚異的な数値を記録していますが、その後は売上、利益ともに徐々に下げ、2016年には売上699億、経常利益105億、純利益84億という結果になっています。

しかし、全盛期からは劣るものの、これらの数字は一般的には、まだまだ一流企業であると言えるほどの数値です。これらは一体どれほどの数値なのでしょうか?

有名一流企業に匹敵するほどの利益と資金力。

まず特筆すべきなのは、その利益率の高さです。グリーの2015年度の決算においては、経常利益率15%となっていますが、上場企業の経常利益率の平均水準は1〜5%程度で、5%を超えると優良企業であるとも言われています。

もちろん、業種や業態によって利益率は違うため、利益率が高いことがすなわち優れた企業と言えるわけではありませんが、15%という数値は非常に優れた水準だと言えます。また、利益額だけをみても、上場企業やいわゆる一流企業と呼ばれる企業群と肩を並べています。

参考までに、利益額の近い企業を並べて見ると、

コナミHD 売上2499億円 経常利益237億円 純利益105億円

日本ユニシス 売上2780億円 経常利益121.6億円 純利益89億円

森永製菓 売上1818億円  経常利益120億円 純利益80億円

といった企業群が挙げられます。 いずれも有名な上場企業であり、そういった企業群と肩を並べるほどの業績を出していること、また比較した際に利益率がいかに高いかということが分かります。

加えて、財政面での安定性の高さという部分も挙げられます。 今回は詳しい説明は割愛しますが、自己資本比率、現預金残高、という指標に注目すると、財政面で非常に安定している企業であるということがわかります。

簡潔な説明をするため、正確な定義ではないということを覚えていて欲しいのですが、自己資本比率とは、借金の量はどれくらいなのか、現預金残高とは、手元に自由に使えるお金がどれくらいあるか、というイメージをしてみてください。

グリーの自己資本比率は91.2%であり、借入などの額は非常に少なく、借入返済に関わる資金繰りに困ることは無いだろうということがわかります。また保有する現預金の額は801億円という非常に高い数値です。

簡単に言うと、銀行からの借入などで多額の資金調達をしていないにもかかわらず、投資などに利用する十分な資金を持っている企業である、ということです。

グリーが現在主力としているソーシャルゲーム事業を例に挙げると、1つのゲームを開発するのに掛かる費用は、どんなに大作であっても10億円前後であると言われています。

高い水準の利益額や潤沢に保有する現預金から、まだまだ主力事業の開発、新規事業の開発に投資を行うだけの体力は充分すぎるぐらい持っている、ということが分かりますね。

財政面はまだまだ盤石。今後のグリーの動向に期待。

今回グリーという企業を業績面、財務面から見ていきましたが、いかがでしたでしょうか?

全盛期からは劣るものの、豊富な資金力を活かし、現在も主力のゲーム事業だけでなく、メディア事業、住まい事業、ヘルスケア事業、また近年話題になっているVR事業への投資を進めるなど、積極的に事業開発を行っています。これからも日本のメガベンチャーとしてIT業界を牽引していく企業となるでしょう。

もちろん、「ヒト・モノ・カネ」が経営の3資源と呼ばれるように、資金力だけが企業の善し悪しをあらわす訳ではありません。当記事を読んで興味を持った人は是非、人材面、サービス面などのより詳しい分析をすすめ、自らのキャリア選択の判断軸を作っていって欲しいと思います。

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