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日本政策銀行の業務内容とは?【喜多恒介が訊く】

喜多恒介が訊くシリーズ、今回は日本政策投資銀行、濱田一利(はまだ・かずとし)さんにお話を伺いました。「政府系」「金融」の会社というイメージが強い日本政策投資銀行ですが、具体的なイメージを持っている人はあまり多くないのでは。今回は、その業務内容について伺いました![Sponsored by 日本政策投資銀行]

日本政策投資銀行の業務内容とは

---日本政策投資銀行というと、就活生のイメージは「政府系」「金融」といった部分で、その実情はあまり知られていないのではないでしょうか。

それこそ「銀行」という言葉が入っていますが、メガバンクや地方銀行など金融機関との違いはどんなところにあるんでしょうか。

濱田:一般的な銀行の主要な仕事は「融資」、つまり「お金を貸す」ということです。貸したお金に利息をつけて返してもらうというお約束をしています。

一方で、私達が取り組んでいる金融に「リスクマネー」というものがあります。融資というよりは「投資」のような世界観ですね。

投資は「貸したお金を将来返してもらうお約束」を交わしているわけではありません。

ではどうやって私たちが利益を得るかというと、投資した先が成長した際にその果実(利益)を分けて頂く、 という形です。

そのため、融資に比べると将来返してもらうお約束をしていない分、比較的リスクがありますから「リスクマネー」と呼ばれるんですね。

そういったお金を必要としている企業は数多くありますが、そのリスクゆえに、他の銀行だとなかなかお金を提供できないケースが多い。

そうした分野にお金を出すことによって、企業が新たな成長を遂げる、新しい挑戦をする。そんな所のサポートをしていくのが日本政策投資銀行の主な役割です。

---融資のように「融資先が返済できるかどうか」どころか、「投資先が成長しないとお金が返ってこない」わけですよね。どこか「お前を信じるぞ」みたいな人情を感じますね。

濱田:たしかにそういった面もあるかもしれません。経営者は「成長するからお金を出してくれ」という立場で、私たちはその期待に応え投資するという立場です。

そこには経営者の「こんな事業に取り組みたい」「こんな社会的価値を世の中に生み出したいんだ」という強い想いへの共感があってこそ、強い信頼関係を築けるのだと思います。

---なるほど。また投資というと、外資系の投資銀行や、商社もある種投資をしていますが、そういった会社とのポジショニングの違いはどんなところにあるのでしょうか?

濱田:一番の違いは、我々の会社が「政策」という名前を冠することからも解るように「公共性」という点を重視している点です。

---いわゆる「政府系金融機関」というところですね。

濱田:外資系投資銀行や商社に限らず、企業がどの案件に取り組むか検討するとき、収益を得ることが優先されるときがあります。

もちろんそのプロセスにおいて、社会に対して良い影響を与えられることもあるでしょう。しかし、第一義としては、投資によってどれだけ収益を得られるかということがあるわけです。

一方で我々は、投資を通じて世の中にどれだけ良い影響を与えられるかが一番のミッションとなります。例えばどれだけ地域の活性化に貢献できるか、産業の発展に貢献できるか、社会課題の解決に貢献できるか、それが最終的な目標。

その目標を達成するために、融資や投資という手段を活用しているんですね。

---なるほど。とはいえ、もちろん株式会社という形態である以上、収益も重要になるんですよね?

濱田:もちろん。我々は無償で補助金を出すような組織ではありませんから、投資をして、収益を得て、さらに投資をしてという経営活動を継続させていくだけの収益が必要になります。

投資を検討するにあたってどれほどのリスクがあって、どれだけのリターンがあって、という精査は厳しく行います。その上で公共性と収益性との両立を図る、そこは難しい部分でもありますね。

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日本政策投資銀行が生み出す価値

---公共性と収益性の両立という所が、日本政策投資銀行のキモになるんですね。

ちなみに、これまで取り組んで来た事例には、具体的にはどんなものがあるのでしょうか。

濱田:すごく詳細にお話をすることはできないのですが、今は大企業であっても経営危機に陥るような時代です。そこで、そういった企業の再建に我々が期待を寄せられることが多くあります。

例えば、そういった企業がメーカーであった場合、日本が誇る技術を持っていたりしますよね。その技術をないがしろにしてはいけません。

しかし、そういう状況に陥っている会社にお金を出すというのは非常にリスクがある。まさにリスクマネーですよね。ただ、そういった状況の会社を再建する、それがまさに政府系の存在意義であり、公共性の高い投資だと思います。

もちろん、ただお金を出すだけではなく、投資であれば株主という立場になりますから、経営に関与していくことになります。我々も知恵を出しながら再建に向けてともに汗を流します。

---確かに、リスクを嫌うような金融機関には中々できない仕事ですね。

濱田:あとは、守りの部分もそうですが、攻めの部分も。

弊行で力を入れているものの一つに「航空宇宙」の領域があります。宇宙ビジネスを盛り上げて、ロケット開発、衛星開発を行い、新しい産業を生むんだと。

例えば、衛星によってGPSの高度化を図っていく。すると、GPSの誤差が数センチという単位になると言われています。その技術を活用すると、車の自動運転システムなんかの実現可能性がよりリアルなものになってきます。

けれども、衛星やロケットという領域では「絶対に失敗しない」なんてことはあり得ない。言い換えれば、失敗の積み重ねが技術を進歩させている領域でもあります。

すると、そういうリスクのある世界にお金をつけてあげられる人が、日本には少ないんです。そういった領域にも力を入れていくのが、我々日本政策投資銀行の役割です。

---日本政策投資銀行の理念は「金融力で未来をデザインします」でしたね。まさに金融のちからで未来を創っていると。

濱田:まさしくその通りです。話は変わりますが、PASMOというICカード乗車券がありますよね。あの開発のときにスキームを金融機関として支えたのは、弊行なんです。あれも、切符だった時代から、世の中を大きく変えましたよね。

宇宙領域も同じだと考えていて、金融機関としてお金という部分から、新しい未来を創り上げていく。そこが金融の面白いところだと思っています。

銀行というと、新しいことをしようとする企業に対して「実績のないものにはお金は出せません」というイメージがあるかもしれませんが、リスクをとって投資をし、企業の挑戦を後押しすることでともに新しい世の中を創っていく、そんな魅力が日本政策投資銀行にはあります。

---金融というと文系のイメージもありましたが、文系理系なんていうのも関係なく活躍できるかもしれませんね。大学時代に研究していた最先端の技術が、実は投資対象になるんじゃないか、なんて。

濱田:そうですね。最近は「大学時代は航空機を設計していました」「薬学部で創薬に取り組んでいました」というような人も多いです。

それこそ領域においても、宇宙だけでなくバイオや農業だったり、幅広く投資をしていますから。

---めっちゃ面白いですね。研究室からではなく、金融の部分からサポートするなんていうこともあり得るかもしれません。逆に文系一本の人でも、色んな業界とお付き合いして知識を深めるなんてこともできそうです。

日本政策投資銀行でのやりがい

ーそんな日本政策投資銀行ですが、皆さんどんな所にやりがいを感じられているのでしょうか?やはり「公共性」や「新しいことを創り上げること」に強い興味を持つ方が多いのでしょうか。

濱田:もちろんそういった部分は大きいと思います。ただ、私自身の実感としては、先ほどもお話に上がった「人情」のような部分も大きいのではないかと。

先ほどのお話とかぶる部分もありますが、我々は投資をする際、経営者の方と事業に対する想いや理念を共有して、その実現に向けてともに汗を流す。

「こういう社会を作りたい」「こういうものを作りたい」、そんな理念を共有した上で、我々日本政策投資銀行が、お金という部分でリスクを取りますと。そうして一緒に頑張りましょう、という伴走者なんですね。

そうしてその夢を一緒に達成して、お互いに「やって良かったですね」「いいものできましたね」とお互い喜び合えた時っていうのは、物凄く大きなやりがいを感じます。

私個人としては、それが必ずしも国家的なプロジェクトでなくてもいいと思うんです。私も地方の支店にいたときには、過疎地域にスーパーマーケットを出店し、高齢者の生活を支えるという案件に携わったことがあります。

宇宙開発だ、スカイツリーだという大規模案件と比べると規模は小さいかもしれませんが、そこに地方のおじいちゃんおばあちゃんが集まって来て、嬉しそうに買い物をしているのを見ると、本当に嬉しくなります。

その地域を活性化させたいという経営者の方と、達成した喜びを分かち合って、実際にそのスーパーを利用してくれる皆さんの喜びを肌で感じて。

金融って「たかがお金」と言ってしまえば無味乾燥としたものですけれども、その先には必ず喜んでくれている人がいる。そういう喜びを積み重ねている職員が多いんじゃないかなと思います。

-社会的意義をリアルに感じられる、魅力的な仕事ですよね。

濱田:逆に、仕事を通じて辛い経験もあるのでしょうか?

銀行員の宿命だと思っていますが、お金を出した先がいつも業績が良いというわけではありません。「借金をお返しできません」と伝えられることも経験しました。

もちろん我々も金融機関として非常に精緻な審査をしていますが、 百発百中ってことは絶対なくて、必ず何件かはそういうことに出くわすんです。

先ほどもお話ししましたが、経営者の方々とは想いや夢を共有して一緒に頑張ろうと走っているわけですから、そういった方から「すみません」ということを言われると、心が痛みますよね。

---ドクターが手術をしたけど、助からなかった、そんな状況ですね。

濱田:でも逆に言えば、そういう状況だからこそ我々が本領を発揮できる部分もあるんです。

---というと?

濱田:会社の業績が悪い、そんな時に経営者が誰を頼るかと言うと、コンサルティングファームには頼めないんですよね。払うお金がないから。

すると、業績が厳しい時にどこを頼るかというと、金融機関なんです。

同じ志を目指した友として、我々がどこまでその企業を支えられるか、という腕の見せ所になってきます。心を痛める時でもあると同時に、その企業を助けるためにどうしようと、心を奮い立たせる場面でもあるんです。

---まさに日本をリアルなところで支えていますよね。顧客が大企業であれば、会社を潰さないことが雇用を守ることにもなります。

濱田:民間の銀行によっては貸したお金の回収に奔走することがありますが、それ自体は私はやむを得ないことだと思います。

ただ、日本の成長に繋がるもしくは日本の基盤となるような企業であれば、あらゆるソリューションを用いて目の前の企業を支える、そのことが日本全体を支えることに繋がるというのが我々の考えであり役割です。

---ありがとうございました。次回は、日本政策投資銀行でのキャリアパスや、環境・社風についてお話を伺います!

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