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「家族のあり方を変える」新居氏が語る、”行動”のすすめ

今回は「LEAP」の1セッション「学生ピッチ」の内容をお届けします。登壇したのは、地方創生会議ファウンダー、小幡和輝(おばた・かずき)氏、株式会社manma代表取締役、新居日南恵(におり・ひなえ)氏、株式会社DAN NAKAMURA 代表、中村暖(なかむら・だん)氏。 学生時代から事業に取り組み、20代前半にして大きな成果を出す3名は、どんなキャリアを歩み、どんな風に行動し、成果を出して来たのでしょうか。皆さんと同世代の3名からのメッセージを、ぜひ学びにしてください。

家族」と言うコミュニティをより良いものに manma代表、新居氏が語る

井上:続きましては、株式会社manma代表取締役の新居さんの登壇です。小幡君と同じく23歳。皆さんと同年代ですね。

新居:こんにちは、よろしくお願いします。

10分ほど、私が何をしているのかと始めたきっかけ、背景みたいなところをお話しさせていただきたいと思っています。

皆さん、今日このイベントに時間を割いているからには、登壇している人たちから何かを掴み取って帰りたいと思っていらっしゃるのではないかなと思います。

私はmanmaというものをはじめて、4年ぐらいが立ちます。今日もメンバーが一人辞めたいって話をしてきたり、日々色んな失敗と葛藤がありながら4年ぐらいやってきています。

そういった経験からお話できることを、なるべくお役に立てるように話していきたいと思っています。

まずは簡単に自己紹介ですが、去年の春に慶応の法学部政治学科を卒業して、今は慶応のシステムデザインマネジメント研究科というところで大学院生をしながら、manmaという会社の代表をしています。

他には、内閣府や文科省の有識者会議の委員や、女性活躍の国際会議のアドバイザーなどもさせていただいています。

では、具体的に私が何をしているのかですが、3年前ぐらいから「家族留学」という事業を中心に運営しています。家族留学というのを、我々はわかりやすいように、家庭版のOBOG訪問という風に言っています。

子育てをしている家庭に、若者が1日限定の体験訪問をするというプログラムです。そうして、家族とは何か、子育てとは何かを学んでいただく、そういったプログラムを3年間、全国でやってきました。

参加者としては、女子8割、男子2割ぐらいでしょうか。大体の方が就職活動中や、社会人数年目など、自分自身のキャリアプランや、自分の人生を考え始めるタイミングで参加しています。

就職活動も、直近の大きな課題としてあると思うんですが、そこからもっと先のキャリアについても考えたいと言う人が沢山いるんです。

特に女性に多いと思うんですが、就職した後結婚や、子供を持つタイミング、仕事だけじゃない長期的なキャリアを考えるにあたって、家族留学に参加をされています。

manmaは「家族を広げ、一人ひとりを幸せに」というコンセプトでこれまで歩んできました。

今までは「キャリア」と言うと、どんな会社に入ってどんな仕事をし、何年で転職して、次にこんなキャリアステップを、みたいな、特に「仕事の部分」を考えてきたことが多かったように思います。

それを、結婚や出産、子育てに関しても考える。そして、より良いものを選択して、実際にそのキャリアを作り上げて行く、そういったサポートをmanmaはしています。

3年間で、全国の22の都道府県に展開をしており、全国の子育て家庭がmanmaに登録をしてくださっています。そして、子育てをしている30代、40代の人の生活を体験してみたいという若者が、希望すればいつでも参加をできるような、マッチングのプラットフォームを作っています。

岡山大学ではこの活動が単位になったり、埼玉県では少子化対策という文脈で授業にも取り入れられたりと、徐々に全国に広がっていっています。

私は事業をやりながらも、慶応のシステムデザインマネジメント研究科という所で大学院生として、「どうやったら家族というコミュニティがより良くなるのか」という点を中心に研究しています。

家族という組織について、事業・研究・文科省の委員・内閣府の委員、そういう風に色々な角度から研究し、事業としてアウトプットをしています。

そういうサイクルを通じて、家族というテーマに関わり続けて、さらに良いものにしていきたいなと考えています。

「意識高い系」だった新居氏が、飛躍したきっかけとは

新居:次は、私がmanmaを始めたきっかけをご紹介したいと思います。

私は大学1年生の時、悪い意味での「意識高い大学生」をしていました。

インターンやバイトをしながら色んなイベントに参加したりして、友達も多くて、意見だけはすごい言う。TwitterやFacebookで起業家やVCの方のアカウントをフォローして、情報はたくさん得ていて、それっぽい意見だけは言えます、みたいな学生でした。

それはそれで楽しかったんですが、口だけは達者で、でも自分では何もしていなくてダサいなっていうのも薄々気づいていました。とはいえ、自分で何か新しいことをするのも嫌だし、リスクをとってやる勇気もない、そんな大学生でした。

その時に変わった社会人に出会いまして、

彼に「お前はいつまで偉そうに、口ばっかり達者に言っているんだ」「家族が大事だとか、政治を変えても世界は変わらないとか言ってるけど、口ばっかりじゃないか」と言われまして(笑)

でも私は「まだ実力がないので、何かを始めるとかはできません」「実力がついたら、家族っていうテーマでなんかやります」なんて言い訳をしていました。

そしたら「いや、今やりなさい」と言うんです。

「もし30歳になってから始めても、30歳で家族というテーマで事業をやっている人や興味を持っている人なんて掃いて捨てるほどいるだろう。

でも、19歳で始めて、もし10年続いたら、29歳の時に、そのテーマで10年やってきた人は絶対にいない。あなたが唯一無二の存在になるとしたら、今始めるしかないよ」と。

「そう考えたら、10年後にチャレンジを待つ必要はない、10年後にもっと高い実力が求められるようになるくらいだったら、今やりなさい。別に失敗しても、普通に就活すればいいじゃん。」

そんなことをグサグサ言われましたが「確かに」としか思えなくて。

当時私はリーダー経験もなく、中学高校でも私は6年間帰宅部だったので、部長とかもやったことがない。

だから「団体のリーダーなんてできません」と言ったら、「やったことないのになんでわかるんだ。やってないのに向いていないって言われても説得力がないよ」と言われまして。

これもまた「確かに」と。

私がやりたくない理由を語れば語るほど、その理由を全部潰されて、確かにやるしかないなと思いました。

そうしてその方と禅問答のようなことを続けるうちに、「今やるしかない、自分が素敵だと思うものをとりあえず作ろう」と思い、manmaというチームが出来上がりました。

悩む前に行動して、失敗せよ

新居:私の大学生活4年間の経験を通じて一番大事だと思っているのは「行動すること」です。

そもそも私が一番最初に興味があったのは「スクールカウンセラー」、あるいは「自己肯定感」というところでした。

AO入試の時にその2つから「自己肯定感」というテーマを学びたいと思って、小学生向けの教育プログラムでどう自己肯定感を育むか、ということについて取り組むことを決めました。

大学生になると「ライフプランニング」というテーマに興味を持って、家族のことを考える機会が必要だと考え、manmaを立ち上げました。

そしてその考えがだんだん磨かれて、「家族のQOLが大事だ」と思って大学院で研究をしています。

私のやりたいことは、そんな変遷をたどっていきました。私は高校生の時に、「自己肯定感」というテーマを選んで、深掘りしていくうちに、今の私の考え、行動に至っています。

ただ、もし仮に私が高校生の時に違うテーマを選んでいても、もしかしたら同じところに辿り着いていたんじゃないかと思っていて。

何が言いたいかというと、結局どんな選択肢を選んでもいいから、とにかく決めてみて、挑戦をした方がいいよということ。

Aを選ぶのか、Bを選ぶのか、それを考えるうちにどこにも進まない、それが私にとっての一番の問題でした。でも、結局その選択は、どっちでもいいんじゃないかなと思うんです。

あの時スクールカウンセラーというテーマを選んだとしても、自己肯定感というテーマを選んだとしても、結局たどり着くところは一緒だったと。

だから、どっちがより良い道なんだろうと悩んで悩んで、結局何もしないを繰り返すぐらいなら、早く意思決定をして、失敗した方がいい。

どんなに実力の無い私でも、みんなが1年間悩んでいる間に、どんどん挑戦をして、100回くらい失敗すれば、他の人よりもちょっとずつ成長して、ちょっとずつ先に行ける。そんなことを繰り返した4年間でした。

たくさん意思決定をして、メンバーに怒られたり、メンバーが辞めてしまったり、調子乗ってるんじゃないの、なんて言われることもたくさん経験しました。でも、そうするうちに少しずつ成長して、今の自分がいます。

皆さんも、何かやろうか、やらないかと迷っている人がいたら、ぜひあまり考えすぎずに、挑戦をしてみてほしいと思います。

ありがとうございました。

新居氏が「やりたいこと」を見つけた原体験

井上:ありがとうございました。

心にグサっと突き刺さった人も多いんじゃないでしょうか。僕もいろんな大学生と、接する機会が多いのですが、「どうしてやらないのか」「失敗を恐れずに今すぐやればいいじゃないの」って思うことも多いです。

どうしても自分に限界を作ってしまっている人や、正解探しに時間をかけてしまっている人。そんな人にたくさん出会います。

でも、正解なんかないんですよね。正解は自分で作り出すものです。

「とにかく一歩前に出なよ」と言っても躊躇する方もいらっしゃると思います。同世代から等身大の言葉に、グサっときた人もいたんじゃないかなと思います。

思い当たる人は、ぜひ参考にしてみてほしいなと思います。

さて、僕からは、2つ質問をさせてください。

そもそも「自己肯定感」とか「家族というコミュニティ」をプロジェクトテーマとして、やりたいと思ったのは、どうしてなのでしょうか。

先ほどのセッションで、「生きがい」という話がありました。好きなこと、得意なこと、社会に貢献できること、儲かること。この4つが生きがいの要素で、それが噛み合うと強い生きがいを感じられるよ、というお話でした。

新居さんは、好きで始めたのか、得意だったのか、たまたまだったのか。そんな原点のお話を聞かせてください。

もう一つの質問は、ここから先の話です。何年後でもいいです。10年後、20年後に、こういうことを成し遂げたい、チャレンジしたい。そんなことがあれば教えてください。

新居:1点目は、私は賛否両論あるAO入試という制度で慶應に入っていまして、入試で自分の将来の夢を書かされるんですね。

その時にすごく悩んで、「学校のスクールカウンセリングの制度をよりよくしたい」とか、目に見える社会課題をいろいろ挙げていったんですね。どんなことに取り組もうかと。

そう悩んでいる時に、1歳上の友達に言われたのが、「あなたが常日頃考えていること、意識しなくてもついつい考えてしまうようなことをテーマにするのが良いよ」ということでした。

そう考えると、私は姉妹の双子で、比べられるような環境で生きてきたんですね。どうしたら自信が持てるか、ということを常に考え、悩んでいる。だからその「自信」「自己肯定感」 にしようと思って、決めました。

私が、ある意味オタク的に探求できたテーマなんですね。どうしたら自信が持てるだろうと。それがすごく良かったと思います。

そう考えて行くうちに、それは家族にきっかけがあるんじゃないかとか、どんな家族だったら自信を持つ子供が育つのだろうと、だんだん家族というテーマに近づいていきました。

で、もう一つ。今後10年、20年の挑戦、LEAPですね。

一つ前の私の興味は「いろんな家族のあり方を、一人ひとりが知る」「そうして知ったことを参考にして、家族をつくり、人生を選んで行く」「その結果、その人の人生がハッピーになり、家族もハッピーになる」ということ。

そういう想いから、家族留学というのをやってきました。

これからは次の興味。「家族」って、家族が家族であるだけで幸せ、みたいなイメージがあると思うんです。でも、私はそんなことないと思っています。家族も、部活や会社と同じような「組織」であると思っているんです。

そう考えると「家族という組織」をより良くする方法って、すごく確立されているわけではないと思うんです。本人たちの努力もそうですし、外部のサービスが入る、といった可能性もあります。そういった手段で「家族という組織」をより良くする。

「家族という組織」を良くするサービスや、サポートをするノウハウが社会に実装されていくと、より多くの家族をハッピーにできるんじゃないかと思っているので、そういったことに取り組みたいです。

井上:社会の幸せが増えそうで、いいですよね。

新居:まさに、現代幸福論の話に近いのかなと思います。

井上:ありがとうございました。時間が迫ってきてしまいましたので、詳しくは後ほどパネルディスカッションでも伺いたいと思います。

新居:ありがとうございました。