Publish date:
Last updated at:

「宇宙」と「社会システム」 若手起業家が描く未来

株式会社LIFULL主催のイベント「LEAP」。講演を通じて、若い世代に「跳躍・挑戦」のきっかけを掴んで欲しいという想いで開催されたセミナーです。今回登壇したのは、株式会社リブセンス 村上太一さん、Needs-One Co.,Ltd 牧浦土雅さん。 今回は、お二人に「宇宙」で事業を展開する、そしてお金に代わる価値を社会に生み出すという壮大なビジョンについて語って頂きました。

「宇宙」に未来を描く、牧浦氏

井上:過去やきっかけについてお話いただいたので。ここからは現在と未来についてお伺いしたいと思います。

お二人は若くして成功者として活躍されていますが、今チャレンジしていることや、考えていることを教えていただきたいです。

そして、10年後でも30年後でも50年後でも、100年後でも構いませんので、「社会をこんな風に変えていきたい」というビジョンもぜひお聞きしたいです。

牧浦:今年は、ビジネスで大きなチャレンジをしたいと思っています。

今やっている教育の事業ではなく全然違う「宇宙」の事業に挑戦したいですね。

今オンライン教育の事業をやっていますが、例えばフィリピンは受験がないのです。

経済成長率は7%と高い水準にもかかわらず、凄く教育が遅れていて、ようやく去年初めて「高校2年生、3年生」という枠組みが追加されたほどです。

大抵の国は、経済成長していくと教育水準も上がっていくのですが、フィリピンはそこが違い、教育にあまり価値が見出されていないのかもしれません。

そういう人々に対して、我々が「教育大事です!大学に行けて良い仕事に就けます。所得が上がり、家族も豊かになります」と我々のような民間企業がプレゼンテーションするのは非常に大変なのです。

地方も含めて、国全体の人に一気に広めていきたいと考えると、やはり国が動くのが一番手っ取り早い。

そうすると、一番の根本的な問題は、ネットの回線やデバイスがそもそもないことです。

だから、インフラ面を解決していくために、宇宙領域でビジネスをしたいと考えています。

宇宙という分野は、他にも様々な可能性が秘めていると思います。

今でも衛星写真は石油がどこに埋蔵されているかを調査したり、気象の予測だったりに活用されていますよね。

でも、その活用の余地はまだまだあると考えています。例えば、国連が支援物資の供給をやっていますが、今は少し非効率な支援方法になっている場合もあります。A地方からB地方に行くのが一番効率的なのに、変なところに拠点を作ってしまうこともあります。

それを、衛星画像で解説すれば、もっと効率的な支援ができるのではないかと考えています。

井上:宇宙ってワクワクしますよね。私も、去年の春先に偶然会ったシンギュラリティ大学の卒業生に今何しているのか尋ねたら、「超小型の人工衛星飛ばしている」と言っていました。

人工衛星って、一昔前は1基飛ばすのに100億円ぐらいの費用がかかっていましたが、それが50億になり、20億になり、ずいぶん安くなりました。でも、彼らは1基辺り2500万円で飛ばしているんです。

その人工衛星を地球上に8500個飛ばすと、地球が全部丸裸にできる。その総予算なんて、これまでの費用と比べると大したことない。

そうすると、様々なデータが取れますよね。土雅さんがやろうとしているような、地球上の様々なことを効率化できたり、点在しているものを誰でも手にできるようなシステムを作ったりすることが可能になります。

そんなことができたら、非常にワクワクしますよね。ぜひ、それにチャレンジしたいですね。

「組織」の強さ、そして社会システムの変革

井上:村上さんはいかがでしょうか?

村上:私は、会社を立ち上げてもうすぐ12年が経ちます。創業から10年までは「事業の10年」、これからは「組織の10年」です。

事業を立ち上げて一定の規模に成長させることができましたが、より飛躍させるには、勝ち続ける組織や、社会に定着するサービスや仕組みのデザインが重要だと思っています。

これからやりたいのは、世の中の格差や不幸と感じる課題を解消するシステムをつくること。

世の中全体が幸せになっているかと考えると、貧富の格差などの影響もあり、どんどん苦しい方向に向かっていると感じています。

「そこを解消する必要がある」と思った時、「世の中」というシステムが回っていく中で、そのシステム自体を変えなきゃダメだと思うんです。

例えば、資本主義システムにおいては、最も分かりやすい「お金」に注目しがちです。それを「お金をいかに稼ぐか」ということから「社会に価値をいかに与えるか」という価値観に変えるような、お金に代わる新たな価値を提供する仕組みをつくりたい。

例えばビットコインも、元々は価値のないものですよね。しかし、それを皆が価値あるものとみなすことで、価値が形成される。 そういう考えを元にすると、例えばNPOが上場する仕組みや、社会課題の解決に資金調達ができるような仕組みもつくれるのではないかと考えています。

それが実現できると、多くの人が世の中に対して良いことをしようという方向に向かっていくのではないかと構想しているところです。

井上:なるほど。お二人はどれくらいの時間軸で考えていますか。

牧浦:そうですね、5年ぐらいで物事が動くんじゃないかという実感はあります。もちろん、失敗はつきものだと思うので、10年ぐらいのスパンを見込んで責任感を持って腰を据えたいと考えています。

井上:村上さんも、社会のシステム変えるような大きな話ですよね。どのぐらいの時間軸で捉えているのでしょうか。

村上:本当に社会に定着するところまで考えると、10年ぐらいのスパンではできないかもしれません。 構想を立ち上げて動き出すという部分に関しては、5年以内のスパンでもできる話だとは思っています。

ただ、事業を立ち上げる時や、新たな構想をする時って、ゴールはイメージできたとしても、その過程が凄く大事だと思っています。なので、まだ今は日々頭の裏側と言うか、潜在意識の中でも地道に考えている最中です。

井上:なるほど。私も会社の社是として「利他主義」を掲げていて、世界中の人々をハッピーにしたいという想いがあります。

最近、人類の幸福や世界平和は、3つの掛け算で実現できそうな手応えを感じ始めています。例えば、「心×社会システム×テクノロジー」といった形です。

「心」の部分は、人々がどういう状態の時に幸せだと感じるのかということをもう少し普遍化する。

そして、それを簡単に手に入れられるように、現在の資本主義、教育システム、政治システムのような、社会システムを、どのようにバージョンアップしていくかを考える。

そして、それを加速させるのがテクノロジーだと思っています。その掛け算で人類全体の幸せが変わっていくのではないかと考えています。

若手起業家は「ビットコイン」をどう捉える?

牧浦:村上さんは、仮想通貨系は何か持っていますか?

村上:私は持っています。

牧浦:仮想通貨をどんな風に捉えているんですか?例えば、上がった額がどう、などありますよね。

村上:私は、売り買いはしないで、勉強用として持っているだけです。

牧浦:最近だと、学生でもビットコイン持っている方も多いですよね。

村上:価格が上がった、下がった、どれくらい儲かったというのは私はあまり好きではないです。

仮想通貨に関しては、そもそも価値の概念自体が無いものなので、上がり下がりだけに注目するとギャンブルと変わらない気がしています。

とはいえ、ブロックチェーン自体は技術として魅力的なものですので、常に変化がわかる体制を取っておこうという感じです。