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証券業界5年目の女性社員が語る、「営業」のリアル #1

皆さんは証券会社の営業に対して、どんなイメージがありますか?「ノルマがきつい」「体育会系が多い..」そんなイメージが強いのでは?ここでは、実際に証券業界で働く社会人5年目の女性社員、有村さん(仮名)から営業のリアルについて聞いていきます。

証券業界の営業の仕事内容とは?

ー有村さん宜しくお願い致します。まず最初に業務の内容についてお聞きしていきます。

証券業界の営業職は、どのような仕事をするのでしょうか?

有村:証券営業には大きく分けて、新規顧客向けと既存顧客向けの、2種類の仕事があります。

新規顧客向けの営業とは、まだ口座を開設していない方に向けて、投資を始めてもらえるように働きかける仕事です。一方で既存顧客向けの営業とは、既に口座を有している方に向けて、継続的な取引を促す仕事です。

証券営業の多くは、自分で顧客を持ちフォローしていく「担当制」を取っています。

ーなるほど。では一人の営業マンとして中長期的に同じ顧客と付き合うという特徴を持っていると。

有村:そうですね。なので担当の顧客へ、継続した効果的なアプローチができるかが証券業界の営業にとって重要なポイントとなりますね。

ーじゃあ具体的に営業とは、どんな風に行うのですか?

有村:証券会社では新規・既存顧客ともに、電話または対面(訪問か来店)での営業が中心ですね。なので俗に言う飛び込み営業も多く経験しました。

営業として自社の取扱商品である株式・投資信託・債券・その他金融商品(保険など)への投資を顧客に促します。またその他に、事業承継や相続対策、土地などに関するコンサルティングサービスの提供も仕事となります。

これらによって生じた投資にかかる売買手数料と、コンサルティングサービスにかかる手数料の合計が、セールス社員個人の収益となります。

ー売買手数料とコンサルティングサービスから得られる手数料が業務上の目標数値となっていると。

有村:証券会社と言えばノルマがきついイメージがありますが、当然のことながら、営業職には達成すべき目標数値が与えられます。

例えば証券会社の場合では具体的に、「月間の収入目標100万円」などが挙げられます。

この場合、目標達成のためには手数料3.24%の投資信託で約3,000万円の売り上げが必要になります。合計で3,000万円の投資信託を売り上げるために、情報収集や既存顧客へのアプローチ、新規顧客の開拓を行います。

例えば、株式の売買は、証券会社によって異なる手数料率が定められています。しかし、インターネット証券の台頭などで、手数料の値下げ競争が激しくなっています。そのため、株式の売買だけでは目標の収益達成が困難となります。

証券会社の営業として採用されて仕事をするためには、株式投資に関する知識や情報だけでなく他の金融商品やコンサルティングサービスに対する知識や情報も身に着けなければならないんです。

ー収入目標から逆算して、売り上げの数値がミッションとして与えられる。そして株式売買だけでなく、幅広い金融商品やコンサルティングサービスへの知見が求められるわけですね。

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証券業界はノルマがきつい?営業の苦労とは

ー証券業界の営業は「ノルマがキツい」と言われることで有名です。実際はどうなのでしょうか?

有村:皆さんよく誤解されますが、証券業界の営業は、年がら年中ノルマがキツいわけではありません(笑)

証券営業の仕事がキツいのは、保有商品が値下がりするような悪い相場の中で、目標の収益を達成するための売上を求められた時。

その原因は、取扱商品の性質にあります。株式・投資信託・債券・その他金融商品(保険など)は、ごく一部を除いて、全て元本が保証されない変動制の金融商品です。

よかれと思って勧めた結果買ってもらった商品が値下がりし、多額の損失を被らせてしまうのはよくあることです。相場は刻一刻と変化するので、勧めた商品が値上がりする良い相場も、値下がりする悪い相場も、必ず訪れます。

相場の調子が良い時の営業は楽ですが、相場の調子が悪くなった時の営業は楽ではありません。

ー相場の状況によって、営業のきつさやノルマの達成難易度は変わるんですね。

有村:証券の営業は外部環境に大きく左右されるということ。もっと言えば、証券業界の営業は、その場しのぎの調子が良いトークだけでは通用しないと言えます。

重要なのは、相場の悪い時でも顧客の話に耳を傾け、自分の話を聞いてもらえるよう継続してフォローすること。情報収集と分析を怠らず、常に新鮮な情報を掴んで、いち早く顧客へその情報を伝えることも重要ですね。

ー常に新鮮な情報を掴んで、いち早く情報を伝えることが営業のキモと言えると。それを痛感した、具体的なエピソードなどあれば教えて頂けますか?

有村:具体的な経験を1つご紹介します。アメリカでシェールオイルの大量生産が可能になり、アメリカのシェールオイルビジネスが世界的に脚光を浴びた時期がありました。

これまで中東各国の生産する石油に頼りきりだったのが、シェールオイルの台頭によりエネルギー生産の構造が大きく覆るという目算です。

この情報を手掛かりに、シェールオイル生産の関連株は軒並み値上がりし、シェールオイル関連に投資をすればどれも値上がりするという状況でした。

しかし、急激に生産能力を伸ばし過ぎた結果、シェールオイルの供給が増え価格の値下がりを引き起こしました。ついには、採算が取れない企業が破綻するという事態にまで陥ったことがあります。

この時シェールオイル関連株を保有していた人は、株式の値下がりを受け損失を被りました。

このように、どんなに調子の良い相場でも、いつかは必ず値下がりをする。安い時期に買って高いと時期に売ることができれば良いのですが、情報を掴んでタイミングを見計らうことは、プロでも難しいことです。

ですが証券会社の営業は、お客様の利益を守り損失を回避することがミッションです。

そのため証券会社の営業として採用されたなら、どんな相場の中でも気を抜かず、常にリスクを見据える視点が必要ですね。

証券業界の営業がやりがいを見いだせる瞬間とは?

ー常に相場に目を向けて、リスクと商機を見据えた正確な判断が求められると。

では、証券会社の営業のやりがい・魅力とはどこにあるのでしょうか?

有村:月並みですがやりがいを感じる瞬間は、顧客から感謝された時ですね。

これまでのキャリアで印象的だったのは、営業を始めて2年目となった時の経験です。

当時、自分なりに懸命に情報をリサーチし、値上がりする可能性が高い銘柄を見つけました。

そして、その銘柄を買うべき理由を顧客様に真摯にお伝えし、投資してもらった。

結果、その銘柄は値上がりをして、後日元本の20%程の収益があがったんです。そんな時、「ありがとう」と言われることは何より努力が報われた気がしましたね。

また、相場の悪い時でも懸命に顧客に会いに行き、商品を売るのではなく情報提供や雑談に徹した経験もあります。その結果、顧客の不安な気持ちを和らげたことで「ありがとう」という言葉をもらった経験もあります。

このように、証券会社の営業職は、変動制のある金融商品を扱うからこそのやりがいがあります。

商品を購入したからと言って必ずしも儲かるわけではないため、顧客は、担当のセールス社員の人柄を信じて取引をします。自分の人間力を高めること、そして他人の信頼を獲得することは、困難ですがやりがいを感じますね。

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体育会系が多いイメージの証券業界。実際はどうなのか?

ーではここから視点を変えて、証券会社の社風や人に焦点を当てていこうと思います。

証券と言えば、体育会系・ゴリゴリ系が多いというイメージを持っている方も多いですよね。

実際はどうなんでしょう?

有村:結論,体育会系が男女ともに多いです(笑)。

では男性と女性に分けて証券会社の「人」について話そうかと思います。

証券会社の男性社員には、何かしらの運動経験がある学生の採用が多いです(笑)。

強豪校でプロ選手を目指していた、いわゆる体育会系の人材が比較的多く採用されていることは事実です。

しかし、割合的には部活動やサークルなど強豪チーム出身ではない人の方が採用人数は多くなっています。

一方で証券会社の女性社員も、男性と同じく運動経験がある人が採用されることが多いです。

しかし、男性に比べて運動経験がある人材は少ない印象です。自由で元気なタイプの女性が採用されている傾向が強いですね。

ー基本的に運動経験を持つ人が男女ともに多いというわけですね(笑)

では証券会社で働く人が共通して持っている能力とか特徴とはありますか?

有村:証券会社で働く人が共通して持っている特徴は、主に3つかなと思います。体力があること、人当たりが良いこと、落ち込んでも立ち直りが早いことです。この3点の特徴を持つ人材が、採用されることが多い印象です。

1点目の特徴である「体力があること」は、運動経験者が多いことに起因します。証券営業はどちらかと言えば訪問がメインで肉体的にハードな仕事のため運動経験者が好まれる傾向です。

2点目の特徴である「人当たりが良いこと」は、自由ではつらつとした明るい性格の人が多いからなのかなと。

やはり様々なタイプのお客様とお付き合いするする仕事のため、必要な能力です。

特に目に見えない変動制の金融商品を扱う証券会社では、セールス社員個人の人柄が重要となる。そのため、人当たりの良さは誰しもが持っている資質だと思います。

3点目の特徴である「落ち込んでも立ち直りが早いこと」は、目まぐるしく変化する相場の波に大きく左右される証券業界だからこそ、落ち込むことがあってもすぐに立ち直る人材が求められるという背景があります。

証券業界の営業に向いている女性像

ーでは最後に女性の就活生に向けて、証券業界の営業に向いている女性像について教えて頂けますか?

有村:個人的な意見だと、証券営業に向いていて成果を上げる女性は、「他者への貢献意識が強く、行動を惜しまない人」だと思います。

証券会社では、元本保証がない無形商材の金融商品を取り扱います。そのため顧客は、商品を実際に手にとって性能を確かめたり、機能を確認して価値の高さを確かめたりすることができません。

さらに、商品を購入しても損をするリスクがあります。そういった商材を扱う中で、顧客が商品を買ってもらうために重要なのは、セールス社員の人柄を信用してもらうこと。

そのため、証券会社の営業では、人間力が高い人材ではないと、顧客の信頼を得ることはできません。

そんな時「他者への貢献意識が強く、行動を惜しまない人」の方が結果的に成果を出すイメージですね。

結果を出す人はやはり顧客の利益の為に、必ず事前に情報をリサーチすることを怠りません。勧めるべき金融商品を見つけるため、日々の経済ニュースや相場の情報をリサーチします。そうして行った綿密なリサーチから、自信をもって商品を進められるのです。

このように、顧客への貢献意識が高いからこそ、勧める商品を徹底的にリサーチして、最適な提案をしようと努力する。その結果顧客からの信頼を獲得し成果を上げるのだと思います。

顧客への利益を考え抜いた上で営業活動を行えば、その気持ちは顧客に伝わるんですね。その結果、たとえ相場が悪くなって商品が値下がりしたとしても、顧客の信頼を失うことには直結しません。

ー他人への貢献意識が強く、努力を怠らない人が顧客からの信頼を獲得し成果を上げると。

有村さん、ありがとうございました。

また、有村さんには、「証券会社に就活を決めた理由」についてのお話も伺いました。是非以下の記事も参考にしていただき、これからの就職活動に役立ててもらえれば幸いです。

証券業界5年目の女性社員が、就職先を決めた理由 #2

また、エンカレッジでは、大手証券会社の比較記事を掲載しています!是非以下の記事も参考にしてくださいね。

【証券業界】大手の証券会社5社を徹底比較!就職に役立つ企業分析のポイント

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