「事業推進部」の仕事内容は?
Aさん:就活生にとって、営業を担当する組織である営業部や商品を作る人の組織である商品開発部などは、比較的イメージがしやすいでしょう。しかし「事業推進部」と言われると、何をしている部署なのかイメージがわかない就活生も多いと思います。事業推進部とは、その名の通り「事業」を「推進」する人の集まりです。
「事業」が何かによって、具体的な業務内容は変わります。会社によっても「事業」を「推進」することが何の仕事を指すのかは定義がバラバラです。事業推進部に含まれる要素でいうとかなり幅広く、経営企画、商品企画、商品開発、サービス企画、営業企画、営業、営業サポート、総務、人事、経理などが要素として含まれます。会社、部署によって事業推進部の業務内容は異なると認識しておきましょう。
事業推進部は会社によってその位置づけが異なります。事業推進部の下に課として具体的な業務の名称がつくことも多くあります。例えば事業推進部営業推進課であれば、営業担当があつまるチームとなります。
一方で事業推進部マーケティング課であれば、マーケターのチームとなります。部署名として、事業推進の前に事業の名称がつく場合もあります。○○事業推進部であれば、特定の○○事業を推進する仕事であれば何でも含まれますし、新規事業推進部であれば新規事業を企画したり、新規事業に関わる部署間連携を進めたりします。
近い名称として業務推進部という名称があります。業務推進部は事業推進部よりもサポートの側面が強い名称になります。業務(すなわち仕事)を推進する部署になるので、営業や商品開発を側面からサポートすることが多いです。事業推進部もここでいう業務推進部と同じ業務内容であることも多いです。
幅広いだけに、就活生が職種研究として事業推進を研究するのは簡単ではありません。新卒で配属されることもありますが、「事業推進部を希望する」のではなく、「○○という仕事を希望する」ことで配属される可能性はあるでしょう。
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事業推進の難しさとは?
Aさん:事業推進の難しさとは、会社全体の成果につなげるために、時には従業員との会社側の利害調整を行うこと。具体的なエピソードとしては、営業支援のツールであるSFAを導入するときのことです。SFAとは、 Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の略で、営業部隊に対して営業支援をすることで効率化を目指すものです。
当初は営業活動の効率化と営業活動の管理・分析の両面での支援を計画していましたが、予算の関係で管理面が強くなってしまいました。商談履歴や営業日報、営業活動分析の機能を主に活用しました。
営業からすると、日報の入力方法は変わり、自分たちのやることが増えて、さらに行動を分析されてフィードバックを受ける、ということになり、良い気分はしません。結果として、営業の売り上げ拡大や商品改善に一定の成果は出せましたが、営業が納得してSFAの活用に取り組んでくれるまでには時間を要しました。
事業の拡大に貢献することであっても、現場で働いている人にはウェルカムではないことがよくあります。事業推進部は、同僚に喜ばれる支援ではなく、事業の成果を出すために必要なことを同僚にしてもらう部署でもあります。このように企業における利益と従業員側の意向を調整する必要があること。それが、難しいポイントです。
事業推進部のやりがいとは?
Aさん:事業推進部のやりがいは、部署や事業部全体の業務フローや仕組みを変え、結果として会社にとって大きい成果に繋げられること。
私個人の経験から言うと、顧客の事後フォローのオペレーションを導入した時のことです。営業が取ってきた案件の事後フォローについても営業が行うことが常態化しており、新規の営業に十分な時間をかけられない状況がありました。
これは会社として解決すべき事態と捉えて、顧客の事後フォロー専門の部隊を置くことに決めました。しかし、営業がそれぞれの経験とそれぞれの関係性で行っていたため、人によっては時間をかけすぎたり、顧客に対する必要なフォローのルールがなかった。
そこで取った対策方法としては、何をどこまでフォローすべきか、会社としてのサービスレベルを定める。次に、対応フローを定めた上で、営業以外のチームで事後フォローができる状態にまで落としました。
これにより、一定のコストはかかるものの、新規営業への注力が可能になり、全体としては売上・利益の向上になりました。
事業推進部では、単純に「モノを売る」とか、「モノを作る」という仕事ではありません。事業推進部の仕事は、業務の運用や仕組みを変え、大きな成果を上げること。周りを巻き込んで、目標達成できたときは大きなやりがいを感じます。
事業推進部で身に着く3つのスキルは?
Aさん:事業推進部の業務は多岐にわたりますので、幅広い力が身につきます。1つの能力に長けた人材よりも、バランスの取れた人材が求められる傾向があります。
・課題発見力/課題定義力 事業を推進する上での課題を解決する部署です。売上向上、コスト低下、リスク回避・・・などの様々なミッションを、どのような問題と捉えるかによって行動は大きく変わります。
ビジネスなので、影響の大きいものから着手するのが鉄則で、自分がやりたいことや得意なことは必ずしも優先順位が高いとは限りません。自分が業務の主体であっても、誰かをサポートする場合でも、視座高く事業を捉えて課題を発見する力、あるいは課題をどう捉えるか、という課題定義力が身につきます。
・論理的思考力/文章力 あまりイメージが沸かないかもしれませんが、実は論理的思考力が非常に求められます。社外に対しても、社内に対しても、何かをお願いをすることが多い部門でもあります。
なぜ必要なのか、を明確に分かりやすく説明するスキルが求められます。推進すべき企画を口頭や資料で何度も表現しているうちに、論理的な説明ができます。分かりやすい資料は、色使いや文字の大きさよりも、筋道が通っていることが重要です。
・周りを巻き込む力/寄り添う力 自分の部署だけで完結することよりも、他部署も関連する業務であることが多いことから、周りを巻き込む力と寄り添う力が身につきます。
これには、必要な企画であることを理路整然と、かつ熱意を持って周りに説明する表現力の側面と、普段から周りとコミュニケーションを取る社内人脈も必要です。
その一方で、各部署の事情を汲んで調整する力も身につきます。人を動かすには、論理だけでなく、熱意や関係性も非常に重要です。
事業推進部に向いている人の特徴とは?
Aさん:事業推進部の業務の中には、営業担当や商品開発を直接的にサポートするような仕事もあります。だからといって「同僚を後ろから支える仕事をしたい」というサービス精神旺盛な人が向くかというと必ずしもそうではありません。
なぜなら、事業推進部において重要な点は、社員を喜ばせることではなく、その仕事によって売上やコストや効率化などの仕事の成果につながることいためです。
例えば、仕事のできない営業を献身的に支援することは、その人には喜ばれるかもしれません。しかし、見方によっては不要なコストをかけているとも言える。
このように、個人としての枠組みを抜けて、会社・事業全体の利益という視点から業務を遂行する必要があります。
その上で、事業推進部に向いている人の特徴は3つあります。
・視座の高い人 常に1つ上の役職の視点に立って仕事をしている人は事業推進部に向いています。例えば営業担当として営業をしていても、上司である営業課長の立場になって、自分の業務やほかの人の業務を冷静にみることができる人です。
事業推進部の仕事は、仕事の大小はあれども事業の成果に直結することが多いので、事業全体を一面だけで捉えずに全体を見渡せる人が向いています。
大学生のサークルに置き換えてみると、必ずしもリーダーである必要はありませんが、会計でも広報でも、自分の役割を超えてサークル全体のことを考えて実行した経験は活きるでしょう。
・ビジネスモデルに興味がある人 先に述べたようにバランス型の人材が求められる傾向があります。そのため「営業しかできない」「こだわりの商品を作ることにしか関心がない」人ははっきり言って向きません。
自分の会社の仕事を俯瞰的に見ることができる人が必要なので、他業種のビジネスモデルに興味がある人は向いていると言えます。
何がビジネスのブレイクスルーポイントなのか、事業のネックになる部分は何なのかを冷静に分析できる人は向いています。
大学生でいうと、ビジネスプランコンテストなどで新規事業を考えた経験は役立つでしょう。ただ、実際のビジネスではもっと複雑な条件下で成果を出さないといけないので、自信過剰は禁物です。
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