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実は「目的のない大学院進学」は就職で不利になる可能性が高かった?

大学生活も中盤を過ぎ、就職に関して改めて考えるタイミング。ここで大きな分岐点になるのが「大学院へ進学するのか、学部卒で就職するのか」ではないでしょうか。理系学生に関しては、大学院への進学を前提にカリキュラムが組まれている大学も多く、文系の学部と比較して大学院への進学を選択する学生が多いでしょう。 その一方、文系学生に関しては学部卒で就職する学生が比較的多く、大学院への進学率は理系ほど高くはありません。しかし、ここ数年は、「専攻分野をもっと深く学びたい」と考え、大学院への進学を選択する文系学生も増えてきています。 一方で目的意識のない大学院進学は就活で評価されないだけでなく、場合によっては不利に働くこともあります。本記事ではなぜ大学院進学が不利に働くことがあるのか。またそうならないために今すべきことを紹介していきます。

日本における大学院進学率

日本において実際どのくらいの割合で大学院に進む人がいるのでしょうか?ここで一度文部科学省が行った大学院進学率に関する調査の結果を見てみたいと思います。

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(文部科学省 平成27年度学校基本調査をもとに作成)

この調査結果より、理系と文系では進学率が大きく異なるものの、大学院進学の割合がある程度高いことがわかります。最も大学院進学率が高いのは理学系でおよそ2人に1人が大学院に行く結果となっています。一方社会系は大学院進学率が最も低く、25人に1人が行く計算となっています。

理系の学生で大学院に進学する人の割合が多い理由の一つは周囲の友達がなんとなくみんな大学院にいくからです。人間は周囲の環境にものすごく影響を受けるものなのでその環境で当たり前とされている道に進む傾向があります。

日本における大学院進学率は近年横ばいに推移しており、今後も大学院への進学を希望する学生が同程度、あるいは今以上に増えることが予想されています。

目的意識のない大学院進学が多い?

先ほど触れた調査結果より、日本国内において大学院進学率はある程度あることがわかりました。特に理系の学生では2人に1人の割合で進学しています。では彼らが大学院に進学する理由とは一体何なのでしょうか?

(第8回全国院生生活実態調査をもとに作成)

上記の図は修士課程に進学した理由を調査した結果を表しています。この図より自身の興味関心のある分野を深めるために大学院進学する人がいる一方で「進学が当たり前だと思った」などの明確な目的意識のない進学理由が多いことが見て取れます。その他にも「社会に出たくなかった」、「就職に有利」などの進学理由も目立ちます。

これらの明確な目的意識がない大学院進学は理系において特に顕著です。その理由としては大学院進学が当たり前という文化が根付いていることがあげられます。周囲の学生も大学院進学にいくことを当たり前と考えているため、とりあえず大学院に行って、そこから就職のことを考えようというスタンスの学生が多いです。

文系と理系で進学理由に多少の違いはあるものの明確な大学院進学理由を持たずに進学をした学生が一定数いることが上記の調査結果から読み取れました。

目的意識のない大学院進学は就職で不利になる

これまで見てきた調査結果より、大学院進学する人が多いものの、明確な進学理由を持たない学生が比較的多いことが明らかになりました。では、なぜ目的意識のない大学院進学は就職に不利に働くのでしょうか?以下ではその理由をいくつか解説していきます。

▼高い専門性を期待される

大学院卒で就活を行う際の注意点として高い専門性を期待されることがあります。大学院卒の場合、高い専門性を発揮し業務に取り組むことが出来ると採用担当者は考え、採用に踏み切っています。つまり就活において大学院卒は高い専門性を発揮し、即戦力として活躍することが当たり前のように期待されているのです。

学部卒の場合、就活では専門性ではなくポテンシャルでの採用であることが多いことから、時間をかけて育成が行われることが多いです。しかし大学院卒の場合、もちろん力を入れて育成は行われるでしょうが、それと並行して、仕事における結果に関しても早い段階から求められるようになります。

▼初任給が高いため採用のハードルが上がる

大学院卒と学部卒では、初任給が異なってきます。厚生労働省の統計データによると、平成29年度の大学院卒の初任給の平均は233,600円なのに対し、学部卒は207,800円となっており、院卒の初任給の方が学部卒より1.12倍多いことになります。

それだけ院卒にはプロ意識のあるパフォーマンスが入社当初から求められているということになります。就活では学部卒の人よりも高い給与を払ってまで採用する必要があるのかという考えを人事はしているため、その期待値に応えられないと採用されないことも考えられます。

▼社会に出るのが遅れる

日本にある多くの企業は「ポテンシャル採用」を重要視しており、「今何ができるか」よりも「今後企業で働く中で企業にどのような利益を生み出してくれるのかというポテンシャル」を重視しています。

そのため、学部を卒業してから修士号を取得するまでの2年間は企業にとっては貴重な社員育成期間に当たります。終身雇用や年功序列を導入している企業からすれば、入社する年齢は異なっても退社する年齢は同じなので、年齢が若ければ若い方が、より多く企業に利益を生み出してくれます。つまり、社員には1年でも長く働いてもらいたいわけです。そのため、院卒よりも若い学部卒の方が魅力的な人材になり得るのも頷けます。

評価される大学院進学とは?

▼研究職を狙うなら大学院卒

基本的に学部卒だから受けることができない企業や院生でないと就職することができない企業は存在しません。ただし、院生の方が入りやすい分野は存在します。

その筆頭が「研究職」です。メーカーや国の研究職の殆どが院卒です。学生時代に関連する研究を行ったという実績がないと研究職への就職は難しいでしょう。募集要項に修士号を必須としている場合もあります。

このように理系で研究職へ就きたいと考えていえる方は大学院に進学することにより評価されやすくなります。しかしここでも企業からは高い専門性が求められていることを念頭においておく必要があります。

自分が大学院に進学する目的を明確にする方法

ここまで見てきて大学院に進学するのであれば明確な目的意識を持つことが重要であることがわかりました。そこでここではどのようにして目的を明確にするのかを紹介します。

1.先輩や社会人に話を聞きに行く 大学院では所属する研究室や教授によってかなり色が分かれます。そのため自分が行きたいと思う研究室の先輩などから事前に話を聞いておくことが非常に重要です。

そこに所属している先輩たちはどのような進学先に就職しているのか。また、日々の研究内容はどのようなことを行うのか。これらの情報を得ることによって大学院生活のイメージがより湧き、自身が大学院に進学する目的を明確化するのに役立つことでしょう。

2.自己分析をする 大学院進学がその後の自身のキャリアに必要なのかどうかを考えることが一番重要です。自身が今後どのようなキャリアを歩みたいのか。その歩みたいキャリアに大学院進学はどのように結びつくのか。これらを自分の中で明確にすることをしてみましょう。

上述したように、日本では新卒一括採用が行われているため院卒でなければ就職できない企業が多いわけではありません。大学院に明確に進学したい理由がないのであれば学部卒でも自分が行きたいと思う企業に就職することもできます。

そのためまずは自身が今後どのようなキャリアを歩んでいきたいのかを明確化し、そこから大学院進学の必要性や目的を考えることが大切です。

私たち一緒に考えませんか?

大学院に進学するか学部卒で就活をするかで悩んでいる人が考えるべきは双方のメリットデメリットではありません。自分が何のために大学院進学したいのかを考えることです。さらに言えば社会に出た後にどのようなキャリアを歩んでいきたいのかという大局的な視点を持つことが大切です。

私たちエンカレッジは専属のメンターが就活生1人ひとりをサポートする面談サービスなどを運営しています。そこで行う面談の中では就活生が今後どのようなキャリアを歩んでいきたいのといった自己分析のサポートも行っています。自分一人で考えるだけでなく、客観的なアドバイスをこの面談を通じて受けることができます。

「大学院に行くか学部卒で就活をするか迷っている」。自分がなんのために大学院に行くのかをもう一度考えてみたい、などあればぜひ一度私たちと一緒に考えてみませんか?

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