就活したくないあなたへ
「就職・就活したくない...」鬱々とした感情を抱える就活生は多いと思います。
「○○社へのサマーインターンが決まった!」と意気揚々と語る同期と自分を比較して、八方塞がりな気分になるのでは?
そこで今回は、ITベンチャーで働く早稲田卒の社会人2年目、鈴原さん(仮名)にインタビューを実行。
入社後仕事を最高に楽しんでいるけれど、大学生の時は「就活をしたくなさ過ぎてわざと留年したほど嫌だった」と語る鈴原さん。
「就活したくない」という就活生に向けて、就職活動とポジティブに向き合う秘訣を伺います。
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就活したくないからわざと留年した
ー鈴原さん宜しくお願いします。鈴原さんは就職して2年目と伺っていますが、率直に仕事はどうですか?
鈴原さん(以下敬称略):端的に言うと、仕事は最高に楽しいですね。
僕は今広告系のベンチャー企業で、企画・営業という仕事をしています。
具体的に言うと、クライアントの課題、例えば集客やブランドイメージに寄与するためのコンテンツ作成や広告作成・運用を行う仕事ですね。
若手の僕にもクライアントとの商談やコンテンツ作成大きな仕事を任せてもらえますし、ミスしても上司の方がちゃんとフォローしてくれる。
この会社に就職して良かったなって本当に思います。
ー若手にも大きな仕事を任せてくれるし、人も良い。だから就職後仕事を楽しめていると。でも聞くところによると鈴原さんは、就活生の時就職がとても嫌だったとか...
鈴原:そうですね。本当に就活も就職もしたくなかった(笑)。わざと留年したくらい嫌でしたね。
ー就活・就職したくないって学生さん結構多いと思いますが、わざわざ留年するくらい就活が嫌だったんですね(笑)。
鈴原:そうですね。
留年したのは、初めて就活に直面した一回目の大学三年生の時ですね。だから僕は、二回大学三年生をやったことになります。
ただ一回目の3年生はほとんど就職活動はしてなかったです。
一回目の3年生の夏時点で、進級に必要な単位をすっ飛ばして留年を確定させていたので(笑)
働きたくない!だから就活したくない!
ーでもどうしてそこまで就職したくないと思ってたんですか?
普通の学生は就活したくないって口で言いながらもちゃんと就職してますよね。
鈴原:端的にいうと「働くこと・就職」に対してネガティブなイメージが僕はとても強かった。
だから当然「働く」ために行う就活を頑張ろうなんて思えなかったんです。
当時の僕の「働く」ことに対するイメージは、理不尽や辛いことに耐えながら日々頑張るといったもの。
例えば、毎朝ぎゅうぎゅう詰めの満員電車にのって出勤する。また上司に仕事について相談したら「自分で考えろ」、相談しなかったら「なんで相談しないんだ」と詰められる(笑)。
ーあまりに、就職についてネガティブすぎたんですね。
鈴原:そのネガティブな仕事観が生まれたのには二つ理由があると思います。
理由の1点目は、父親が仕事に対してフラストレーションを貯めている姿を毎日見ていたから。
私の父親は、日系の大手メーカーで会社勤めをするサラリーマンです。
そんな父親が家に帰ってきて、ちょくちょく家族に仕事の話をするのですが、基本的に愚痴ばっかりでした。
例えば取引先会社の○○さんと「契約を承諾したのかしていないのか」でもめたとか。
外資系企業から転職してきた年下の社員が自分の上司になって悔しいとか(笑)。
父親から仕事が楽しいとかやりがいを感じたエピソードを聞くことは殆どなかったんです。
理由の2点目は、それまで経験してきたアルバイトが苦痛だったこと。
飲食店とか、コンビニとか日雇い派遣のバイトとか色々経験してきたのですが、本当につまらなくて。
こういったバイトは基本的に社員に言われたことをロボットのように繰り返すだけでした。
もちろんお金をもらうので我慢すべきだと理解していましたが、「なんでこんなめんどくさいことをやらないといけないのか」と思っていました。
だからバイトは長続きしなかったですね。
例えば、人生始めてバイトしたコンビニは、陳列の作業が苦痛だったのと、季節商品の売上ノルマを背負わされ、結局自腹で買わされたのがきっかけで1ヵ月で辞めました(笑)。
仕事を楽しむ社会人と接する機会も、自分が仕事を楽しめた経験もなかったんです。
だから、「働くこと」に対してネガティブなイメージが生まれて、留年しようと思ってしまったのかなと。
就職したくない感情が消えたきっかけ
ーそれほど、就職・就活したくない大学生だった鈴原さんも今は楽しく働けていると。何かきっかけはあったんですか?
鈴原:きっかけは二回目の大学三年生の時、友人から紹介されたベンチャー企業で、WEB上で飲食店の紹介記事を書くアルバイトでした。
ー働きたくなかったのに、アルバイトを始めたんですか?
鈴原:そうですね。でも成長したいとかビジネス経験を積みたいとか大層な理由で始めたわけではありません。
そのバイトを始めたきっかけは、友人に「勤怠管理が緩いし、家で作業してもいい」に言われて働きやすそうと思ったことと、単純に就職活動で話すネタ作りでした。
でも結論から言うと、そのアルバイトはとても楽しかったんですよね。
ーなるほど。今までのアルバイトと違って楽しかった理由とかってあったんですか?
鈴原:理由は3点ありました。
1点目は、仕事の成果が数値で目に見えること。
WEBの記事なので一週間スパンで定量的に成果が出ますし、工夫した結果数値が上下変動するのがとても面白かった。
2点目は、自由な働き方ができてストレスが少ないこと。
コンビニのアルバイトとかは何曜日は絶対に出勤しなきゃいけないとか、休憩時間とかも全部社員に厳しく管理されてました。トイレに行くにも許可が必要でしたね。
だけど、そのベンチャーでのアルバイトは、記事さえ書けば自由に休憩やご飯を食べに行っていい、その柔軟な風土が肌に合っていた。
3点目は、自分がやりたいと言ったことが実現できる環境だったからです。
そこが今までやってきたコンビニバイトとかとの大きな違いでした。
例えば、僕が記事の指標を改善する仕事をしたいと訴えるとすぐに任せてもらえたり。
自由にやりたい仕事を提案したり、発言したりできる、いわば裁量権がバイトの僕にもあった。
だから、仕事・働くことが楽しいと思えたんですね。
ーベンチャー企業でのアルバイトは、今までのアルバイトと環境が大きく異なっていたんですね。
鈴原:本当に違いましたね。そこで自分が気づいたことは、会社やその環境によって仕事への充実度は大きく変わるということ。
つまり、自分が仕事を楽しむために必要な条件がそろう会社ならば、仕事は楽しめるし、逆にその条件が欠けている会社では仕事が楽しくないのだと。
それに気づいたとき、「だったら就活を通じて、自分が仕事を最高に楽しめる会社に就職しよう。自分が仕事を楽しめなさそうな会社には、就職しなきゃいいや」って吹っ切れたんです。
そこから「就活したくない」という感情が消えて、入社後仕事を楽しめるように就活と向き合おうと思いました。
就活したくなかった僕が、今仕事を楽しめている理由
ー入社後仕事を楽しむにはどんな条件が揃う会社に就職するか、それが就活を始める時の起点になったのですね?
鈴原:はい。
やはり僕が今仕事を楽しめている理由は、「入社後仕事を楽しむこと」を目的に、企業選びの軸を設計し、戦略的に軸と合致する会社を取捨選択していったからだと思います。
その時軸になったのは、先ほどお伝えしたベンチャーでのアルバイトが楽しかった理由の3つですね。
・成果が定量的でかつ成果が出るまでのスピードが速いこと。 ・社員の自主性に任せる柔軟な働き方ができる会社 ・若手でも自分の意見が言え、仕事を任せてもらえる会社
この3つの軸に合う会社を探して企業分析やOB訪問、説明会に参加して会社を選んで行きました。
そして、その軸と合う企業に入社できたからこそ、仕事が最高に楽しめています。
ーでは具体的に、どう就職活動を進めていったのですか?
鈴原:就職活動の始めたては日系企業を幅広く見ていました。
でも仕事のスピード感とか若手への裁量権という観点からだと僕と合っていないなと感じました。
例えば、とあるSier企業の説明会では「プロジェクトが発足してから、終了するまでにプロジェクトによるが2年から3年はかかる」と聞いたので、自分の軸と合わないから切ったり。
もう一つ例を挙げると、大手自動車メーカーの人事から「若手には自ら提案して動ける人間を求める」と聞いていいなと。
だけどOB訪問をしてみたら、「例えば、自分から業務改善案を提案するためには、部長の承認をとらないといけないが、部長に承認させるには、まず直属の上司や課長と話をつけなければならない」と聞いて、めんどくさいなって(笑)。
仕事のスピード感や若手への裁量といった観点を考えると、結局ベンチャーを中心に見ることになりました。
ーでは今働いている会社に就職を決めた理由は何だったんですか?
鈴原:自分が仕事を楽しむための条件が一番揃っていると感じたからです。
今の会社は社員数30人くらいの小さい企業なので、社内のポストに対する競争率が低く、就職した直後の若手にも積極性・裁量権を持てる。
なのでクライアントへの営業戦略やそもそもの事業戦略に対する提案もさせてもらえていますし。
今自分の中心業務である広告作成や運用も日単位で成果を図れるので、スピード感早く細かい施策を回せる。
それに成果を出してさえいれば退勤時間も休暇も柔軟に取れる。
自分の就職活動の軸から考えた時に、この会社がベストかなと思えたからですね。
ーでは今振り返ってみて就職活動はいかがでしたか?
鈴原:正直就職活動は楽しかったです。
元々は就活したくない気持ちが強かった自分が就職活動を楽しめた理由は、2点あると思います。
1点目は、「自分が仕事を楽しめる会社を見つけること」を目的に、就活や企業選びを行っていたので、自発的に就職活動に臨めたこと。
2点目は、面接などで自分の言葉で会社に求める条件を真摯に伝えられていたから、面接官も建前を超えた接し方をしてくれたこと。
選考の中でも企業選びの軸を元に「この条件が揃っている御社ならば、自分は仕事を楽しみながら成果を出せる」と伝えていました。
自分が会社に対して求める要素を明確にしていると、面接官の方も真摯に答えてくれます。
選考の中で、「個人的には君を次の選考に進めたいけど、君が会社に対して求める要素の○○はウチでは得られないかもしれない」と正直に応えてくれた面接官もいましたね。
自分の経験に根差した企業選びの仕方をしていたので、企業も僕のことを考えて向き合ってくれましたね。
就活したくないあなたを前向きにする秘訣
ーでは最後に、就活したくないという学生に向けてアドバイスをお願いできますか?
鈴原:アドバイスは2つですかね。
1 点目は、就職に関わる自分の思い込みを捨てて、捉え方を変えること。
就活生の皆さんが就活したくないと思う理由は
「働きたくないから就活したくない...」「やりたいことがないから就活したくない...」「選考で落とされるのが嫌だから就活したくない..」の大別して3つだと思います。
だけどそう思う前に、「本当に働くことってつらいのかな?」「やりたいことがないと、内定もらえないのかな?」「選考で落とされるって本当につらいのかな?」と自分の思い込みを疑ってみてください。
僕は自分の経験から、会社や環境によって働くことは楽しくもつまらなくもなると痛感しました。だから「どこの会社に就職するか」って本当に大事。
それに「日本を変えたい」とか「格差をなくしたい」とか就活で受けのよさそうなビジョンがなくても、バリバリ働いている方もいらっしゃいます。
また選考に落とされるのも、面接官が「この就活生はウチに入っても幸せにはなれない」と判断したからかもしれません。
選考に落とされたのも、自分に合わない企業に入ってつらい思いをする危険から逃れたと捉える。
ー就活に対する先入観を捨てて見ることが重要だと。
鈴原:やはり、多くの就活生は企業に入って働いた経験がないために、凝り固まったイメージに囚われちゃうんですよ。
例えば大手企業に就職しないと人生やばいとよく言いますが、このご時世ベンチャーから大手企業に転職する方も多いです。
なので、自分の思い込みや周囲の意見で就職活動をつらい・めんどくさいと決めつけるのでなくフラットに捉えてみることが大切です。
ーなるほど、なるほど。
鈴原:就活したくないという人への2つ目のアドバイスは、「自分の人生を楽しくするには、どんな企業に就職すべきか」この問いから、企業を選ぶ軸を設定することです。
方法としては、自己分析で自分が楽しいと思えた経験を洗い出して、なぜ楽しいと思えたのか振り返ってみる。
例えば、チームスポーツをやっていてチーム一丸となって結果を残した経験が楽しかったと思えるなら、個人で成果を出すことが求められる営業のような働き方より、チーム全体で成果を出すプロジェクトベースの働き方が合っているでしょう。
その逆で、一人でコツコツと何かに取り組み結果を出すことが楽しいと感じる人ならば、個人で数字を背負う営業職の働き方が合っているかもしれません。
こんな風に、自分が仕事を楽しむにはどんな環境がいいかを考えて、仕事・会社選びをすると、多少は就活とポジティブに向き合えると思います。
ー就職活動のスタートを、仕事を楽しむ会社に入社することにおいてみると。
鈴原:自分もそうでしたが、「就活・就職したくない」と思っていると、それで思考停止してしまうんです。
だから、「自分の人生を楽しくするには、どんな企業に就職すべきか」という問いについて一旦考えてみる。
それを考え抜いて、結論として就職では自分の人生を充実させられないと思ったなら、他の道を探せばいいんです。
そうすれば、後々「就職すれば良かった」なんて後悔しないはずですから。
最後に、日本には421万社の企業があると言われています。比率でみると0.3%と言われますが、それでも1.2万社も大企業がある。
就活したくないという気持ちは本当にわかりますが、それだけ企業があれば、就職後仕事を楽しめる会社は必ずあるはずです。
ゆっくりでいいので、自分がどんな会社だったら充実して働けるかを考えて、就活に向き合って見て下さい。
ーありがとうございました!
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