伊勢谷氏の「志」とは何か
井上:ありがとうございました。それでは、残り10分になってしまいましたので、伊勢谷さんと僕の「LEAP」と「志」、これを皆さんに伝えて、最後メッセージで締めたいと思います。
ただ、その前に一つ「志」の僕なりの解釈をお話ししたいと思います。
伊勢谷さんが仰っていた、「自分にベクトルが向いているのか」「地球や人類、公にベクトルが向いているのか」と考えると「自分が、俺が」「金持ちになりたい、偉いと言われたい」というのは「志」ではなく「野心」だと思っています。
覇道・覇者とか言われるものです。
「志」は、自分がどうこうではなく、公をどういう風にしていくか。公益的なものを「志」と言っているんですよね。
自分が主語、俺がこうしたいっていうのは「志」とは言わないと考えています。
僕、高い志と書いて、「たかし」という名前なんですけれども(笑)、自分の名前について言葉の成り立ちなどを深く調べたところ、そういうことを感じました。
そう考えると、今日来ている皆さん、先ほど発表をしてくれた皆さんは、野心ではなくて、本当に志を持つ人ばかりでしたよね。
そこはちょっと感動をしましたね。日本はこれからも期待できるな、そんなことをすごく感じました。
伊勢谷:今の井上さんのお話を受けてなんですけれども、自分のために頑張ってる人と、人のために頑張ってる人、目の前に二人いたら、どっちが好きかって考えると、どっちになるべきか多分明らかですよね。
俺のために頑張ってくれているんだ、じゃあ何か返したいな、となりますよね。仲間も作りやすいはずです。
井上:では、伊勢谷さんの志をお伺いしましょう。
伊勢谷:最初の自己紹介でほぼお話をしてしまったんですが、僕は、地球で人類が生きるために頑張りたい。先ほど話した活動でみんなが幸せになれば、幸せになった人たちが、あいつ頑張ったからお返ししようって考えると思うんです。
もしかしたら、人のためになることが自分のためになっているのかもしれない。究極の利己は利他になる、そう思っています。
すごくシンプルにまとまってしまったので、先ほどの発表に一つフィードバックしたいと思いまま。
オランダのお話がありましたが、確かに結構面白いことが起きているんですよね。
民間の意見を聞いて、議論して、結論まで出す。そんな施設があって、政府のお金で運営されているんです。
それを見て思ったのが、社会の規模が半分ぐらいだと、スピードは速くなるんだなと。
オランダ以外でも、エストニアという国では、日本よりもインターネットやIoTの活動がすごく進んでいます。日本と全然違うことが起きているんですね。
日本は、今すごく低迷していっていますよね。だんだん世界の中で「日本はイケてる」と言われる分野がなくなってきました。
昔日本が得意だった分野は、今は中国に持って行かれてしまっている。
でも、中国のように人口が非常に多くて強い国じゃなくても、エストニア、オランダは、彼らなりの新しい展開を始めている。
人口減で日本はもうダメだなどと言ってもしょうがなくて、その次の展開は何かを考えないといけない。エストニアやオランダだけじゃなくて、地域単位に目を落とせば、アメリカのポートランドという州は、100万人の都市で5人しか議員がいないのですが、それでも良い運営ができている。
そんな参考事例は世界にたくさんあります。日本が遅れていて先進者が進めている部分は、ぜひ参考にしてほしいんです。先ほどの方も、オランダでたくさん見てきてほしい。
たくさん得られることがあって、おそらくその中のいくつかのノウハウは、今後必ず日本に入ってきます。
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伊勢谷氏が「志」を持ったきっかけ
井上:一点、伊勢谷さんにお答えいただければと思うのですが、今日ご来場の皆さんは志を持っていて、行動しようという強さも感じます。伊勢谷さんは、志を持った時はいつ頃で、どんなきっかけだったんでしょうか。
伊勢谷:リバースプロジェクトを始めようと思ったのが27歳でした。映画監督をさせていただいたのは、だいたい25歳ぐらいの時で、その映画の公開が26歳の頃。
僕は、昔から映画監督という夢を持っていて、それを達成したんですよね。もちろんそれ自体は幸せだったのですが、心の中にどこかわだかまりがありました。
夢を達成して幸せになっているはずなのに、どこか幸せになっていない自分に気づいた時に、なぜなんだろうと、先ほどの「自分が生きる意味」を考え始めましたね。
井上:行動して結果を出したからこそ気づいたことですよね。
伊勢谷: とにかく、一度やってみる。なんとかして成し遂げる。それが重要だというのは強く思いますね。
でも、僕はやらなかったこともありました。行動したいと思っていたけどできなかったこともあります。だから、やらなかった人の気持ちもわかります。
やった人だけが偉いのかというと、やらなかった人にも、役目というのはあるんじゃないかなと思います。
例えば、井上さんみたいな方がいらっしゃるじゃないですか。志を持っていて、行動して。僕は、彼には勝てないなって思うのです。
彼が10日分時間を持っていたとしたら、志を達成するために彼はその10日を使っています。でも僕は10日全部を使うことはできていないなと。井上さんを見ていると、そう思うのです。
そういう人を見た時、もしも志が一緒だったら、サポートをする側に回るのもいいかもしれません。その人が一人では達成できないことも、自分がサポートをすることで、何か達成の手伝いができるかもしれませんから。
「2番手」も重要な役割です。映画業界も、助監督がいなくて、すごく悩んでいるから(笑)
この場に来て、これを言うのもなんですけど、2番手がいるからこそ、たくさんの1番手が頑張れるんだと思います。
僕も、ある友人と10年前から一緒に仕事をしています。友達としてはもっと前から、20歳ぐらいの頃から友達です。
その人と一緒にやってこれたのは、「志」が同じだったということが理由の一つだと思うので。
メッセージの一つとして、そういうこともぜひお伝えしたかったんです。
井上氏が語る「これからの社会のあり方」
井上:では、残り時間も2、3分くらいになったので、僕の志についてもお話をさせいただきます。
僕の志というのは、初めから「世の中を変えたい」というものでした。まずは不動産業界を変えたいと思い、スタートしたのがLIFULLという会社の原型です。
そこから、住まい領域だけではなく、暮らしや人生など、豊かにしたい範囲が広がってきています。
そして、僕自身の最終的なビジョンは何かというと、人類の幸福と、世界平和。
では、どうやって達成するかというと、まず「幸福」というものを因数分解します。オープニングセッションでもお話しました。
人類の幸福=「心」×「社会システム」×「テクノロジー」。この掛け算を最大化するために、一つひとつの要素を良くしていこうと定義付けました。
「心」は、先ほど幸福学や生きがいの話をしたので、割愛します。
「社会システム」は、先ほどもお話がありましたが、今の資本主義は、もう少しチューンナップして進化させる必要があると思います。
それを資本主義というのか、僕はわかりません。その時は、お金というものはもう介在しなくなるかもしれません。
目指しているのは、 電気・ガス・水道・食料といった、ライフラインに関わることは、貧富の差に関係なく誰でも、潤沢に手に入るようにすること。
次に、教育・住まい・働く場所。そういったものにおいて、全ての制約から解放されること。
例えば教育。「ここの学校に入学しないと、人生終わっちゃう」みたいな、受験も無くなっていくでしょう。誰もが良質な教育にアクセスできるようになっていく世界が来ます。
そこに、テクノロジーを持ち込んでいく。生活コストを1/10にしていくようなテクノロジーも、だんだん出来上がるでしょう。
そうすると、そもそも「働く」という概念そのものや、「生きる」という概念そのものが、LEAPするんですよね。
社会が圧倒的に進化し、生活コストが減ることで「儲けなきゃいけない」というMUSTの部分がなくなるんです。
そうすると、先ほどの「生きがい」の4項目を思い出してください。 「社会のため」「好きなこと」「得意なこと」、このどれか3つの生きがいを求めていくことになるでしょう。
そうなると、我々はどんな働き方を、どんな生き方をしていくことになるのでしょうか?
皆さんの世代は、まさにそういう時代がくると思います。医療技術の進化で寿命は120歳、150歳になると言われていますし、シンギュラリティの時代ももうすぐだと言われています。 そんな時代を作っていくのは皆さんです。解決すべきことはいっぱいあるし、取り組んだら絶対に面白いこともたくさんあります。
だから、どうしようって迷っている時間なんか無いんですよね。
自分の感性にしたがって「これをやるべきだ!」と思うことを選んで、チャレンジをしていく。
そして、社会全体をより良くしていくためには、僕一人ではできないですし、伊勢谷さん一人でもできないです。ここにいる人達だけでもできないです。日本人だけでもできないです。
でもそういうムーブメントを世界的に起こして、みんなで取り組んでいけば、幸福な社会の実現ができると僕は思っています。
何か確信めいたものを感じているんです。是非皆さんと一緒に、そういった世界に向けてスタートしていきたいと持っています。
「志」を見つけ、成長せよ
井上:あとは、僕が今日感じたことをフィードバックして、最後、伊勢谷さんからのメッセージで締めたいと思います。
僕からお伝えしたいのは、「伸びる人の特徴」3つ。それは、「好奇心が旺盛」「素直」「負けず嫌い」この3つです。
赤ん坊をイメージしてもらうと、皆さん納得していただけるかと思います。
まず赤ん坊は、何でもかんでも触りたがります。何でも口に入れたがります。行動しようかどうか迷っていません。好奇心旺盛なんですよね。ちょっと興味を持ったらすぐに動き始める。
そしてすぐに、ブロックって食べちゃいけないんだとか、素直に全部吸収していきます。
「これって食べられるのか」「いや、食べられないはずだ」とかはあんまり考えなくて。
よく例えにあげるのが、ビデオデッキってご存知でしょうか?最近はあまり見ないですが、ビデオテープを入れて再生する機器です。
赤ん坊って、ミニカーやブロックなどを、デッキに詰めたがるんですよ。 どういうわけか、すべてのご家庭で必ずやりたがるんです(笑)入り口がパカパカ開くのが好きなんでしょうかね。
でも、それをすると壊れちゃうので、お父さんお母さんが、赤ちゃんが開けられないようにロックするんですよ。 ロックをしても、赤ちゃんは何とかしてこのブロックをこの穴にいれてやろうとたくさん試行錯誤して、最後はやりとげるんですよね。
まさに、成長する人というのはこういうことです。すごく好奇心旺盛で、すごく素直で、でも負けず嫌い。絶対になんとかしようとする。
こういう人たちは、際限なく延々と伸び続けていく。
今日登壇している皆さんのお話を聞いて、みなさん非常に行動が早いなと、強く感じたと思うんです、行動、行動、とにかく行動という話をたくさん頂きました。
そして、その行動がとにかく早い。意思決定をするまでも早いですし、やり始めても早い。プロトタイプを作って「こんなのできました!すいません、45日も掛かっちゃいました!」って、すごいスピードですよね。
さらに皆さん楽しそう。楽しそうにのめり込む姿ってかっこいいですよね。巻き込まれていく感じがしますし、共感もします。そういう人たちが、世の中を動かしていく。
あとは、人のせいにしない。自責、自律的、能動的、主体的であること。今失敗しているのは、全て自分の判断と行動の結果。それを彼らはわかっている。
常に、なんでだろう、どうして失敗したんだろうと、内省する。そして次にやってみると、もっと上手になっている。さっきの三歳児の負けず嫌いと一緒です。考えて考えて、次は成功させるぞって。
そういったことをずっと繰り返している人が、とてもキラキラ輝いて見えたというのが、今日の僕の感想です。是非皆さんも参考にしてください。 それでは最後に、伊勢谷さんからお願いします。
伊勢谷:繰り返しになってしまいますが、是非まずは自分の志を発見してください。 その上で、志が一緒で、何か一緒にやっていきたい人を見つけてください。
自分がリーダーかもしれませんし、2番手、3番手かもしれません。
今後、志というのはもっと大事になっていきます。今、会社ごとに争っていますが、そういうのもどんどん飛び越えていく世の中になっていると思います。
同じ志を持つ会社が協働して、何かを成し遂げることもあるでしょう。
会社単位でもそうですし、もちろん個人単位でもそうです。
自分の志は何か。そして、それを一緒に成し遂げられる仲間は誰か。チームで一つの志を、是非成し遂げて欲しいなと思います。
井上:そして是非、リバースプロジェクトのWantedlyもチェックしなさいと(笑)
伊勢谷:そうですよ!(笑)リバースプロジェクトも、Wantedlyで仲間を募集しています。人類が地球に生き残る可能性を作ろうという志を持つ人は、是非一緒にやりましょう!
井上:僕らも、グループ会社を100社作っていこうと掲げていて、今15社です。事業の持ち込み、大歓迎です。資本金も出します。事業プランが経営会議を通過すれば、あなたを社長にします。そんなLEAPを待っています。
伊勢谷さんもエントリーしますか?(笑)
伊勢谷:なるほど...(笑)
井上:冗談です(笑)。それでは、これにて終了とさせて頂きたいと思います。皆さん、伊勢谷さんに盛大な拍手をお送りください!
伊勢谷:ありがとうございました!
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