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「行動力」の源は? 若手リーダーが挑戦できる理由

株式会社LIFULL主催のイベント「LEAP」。講演を通じて、若い世代に「跳躍・挑戦」のきっかけを掴んで欲しいという想いで開催されたセミナーです。今回登壇したのは、株式会社リブセンス 村上太一さん、Needs-One Co.,Ltd 牧浦土雅さん。若くして大きな成果を残すお二方。「行動力」を生み出す源とは?

13歳で単身イギリスへ。「行動する」ことが好きだった

井上:それでは、自己紹介もいただきましたので、ここからは過去・現在・未来という時系列で、お二方にお話を伺いたいと思います。

村上さんは、確か高校生の時には、もう起業を考えていたんですよね。創業はおいくつの時でしたか?

村上:19歳ですね。

井上:設立が19歳ですか。

村上:そうですね。準備は18歳の時からです。

井上:何故そんな若い時から挑戦しようと考えていたのか、皆さん気になると思うんです。例えば、ご自身の頑張る源ってどこにあったのか、それが家庭環境にあったのか、それとも他に何かきっかけがあったのかというのを、お聞きしたいです。

土雅(牧浦)さんも、13歳で単身海外に行って、そこからアフリカ・インド・東南アジアなど、様々な場所で活動されていますよね。何でそんなに行動できるのか、その源をぜひお伺いしたいです。

多くの若い人たちは「一旦まずは英語を勉強しよう」とか「大学を卒業してから」とか、なかなか行動できない人が多いのではないかと思います。

そんな中、なぜそれほど早く行動に移ることができたのか、その原点を教えていただければと思います。では、土雅さんからお願いできますか?

牧浦:そうですね。そもそも行動することが好きな人間ではあると思います(笑)

分かりやすい例だと、私は本をあまり読みません。なぜかと言うと、本を読む前に、著者の人に直接話を聞きに行ってしまうからです。

その方が早いですよね。本を1冊、数時間かけて読むよりも、1時間ぐらいで話が理解できる。もちろん下準備は必要ですけれど、聞きたいことをドンドン聞けます。

連絡さえ取れば誰でもできる時代だと思います。著書さんって、意外と直接コンタクトをされることが無いみたいなので、割と簡単にお会い頂けることもあります。

そういう方とお会いすると、やっぱり良い刺激を受けます。そこで影響を受けることもあって、次々どんどん行動してしまいますね。

井上:なるほど。さすがの行動力です。でも、行動力があるといっても、13歳で単身イギリスに行く人は少ないですよね。何かきっかけがあったんでしょうか?

牧浦:そうですね、今井上さんも腕を骨折されていますけど、私も実は骨折つながりで(笑)

ラグビーで足首を骨折してしまった際に通った。病院で偶然、留学のパンフレットを見つけました。その時「なんだか面白そうだな、行ってみるか!」と思い、それですぐに両親に話をしました。

井上:親は全然反対せず「行ってこい」という感じでしたか?

牧浦:義務教育は最低限終わらせてほしい、とは言われました。イギリスの学校に合わせると、中2で渡英するのがベストだったので、そのタイミングで留学に行くことを後押ししてくれました。

井上:行ってみてどうでしたか?

牧浦:良かったですね。イギリスは『規律の中の自由』と言われていますが、とにかく何かやりたいことがあれば、先生もできることはサポートしてくれます。

そして、町全体が学校のような、いわゆる『キャンパススクール』になっていて、授業の一環として、町全体を巻き込んでホテルでファッションショーをやったりするのです。

そういうチャレンジを、すごく応援してくれる文化があるので、チャレンジが好きな私に合っていたと思います。

常に「なぜ?」を問い続ける

井上:では、村上さんお願いします。

村上:そうですね、私は昔から常に「何でだろう?」と疑問を持つタイプでした。その流れで「生きるって何だろう?」とか、「死とは何だろう?」とよく考えていました。

死んだら何もなくなるという概念が、子どもには分からないじゃないですか。 「何もなくなるとは何なのだろう」とか、「人はそもそも、何のために生きているのだろう」とか、日々意識していましたね。

井上:小学校の時から、自然にそういう思想が出てきていたのですか?

普通の小学生って、公園で滑り台とかブランコ乗ってわいわい遊んでいるイメージじゃないですか。それから「宿題嫌だな」「テレビみたいな」「ゲームで遊んでいるのが楽しい」というのが普通だと思うのですが。

その横で「生きる意味は何だろう?」って、考えているんですよね。

村上:考えるようになったのは高学年頃からですけどね(笑)

親がいつも、「何でそれをやりたいのか?」と聞くことで、私に考えるきっかけを与えてくれていたのだと思います。あと、世の中には意外と間違っていることがあるような気がしていたんです。

私は小学生の頃にメダカを飼っていたんですけど、どうしても卵を産まなかったんです。

本で調べると、「20度以下にすると良い」と書かれていたので、水槽に氷を入れました。そしたら卵を産んだんです。

だけど、もう一度本を読むと「20度以上」と書かれていて。単に読み間違えただけなんですが、それでも氷を入れた翌朝に卵を産んでいました。

そんな経験もあり、世の中には間違っていることが結構あるかもしれないと思うようになりました。そういった経験も、「なぜだろう?何でだろう?」と深く考える習慣に結びついているのだと思います。

井上:常識を疑うことの大事さを感じられたのですね。

若くして「起業」。その行動力の源とは?

井上:もう一段階だけ掘り下げたいのですが、そういった考えや行動をするようになったのは、お二人の個性なんでしょうか?

それとも、親の影響があったのか、周りの環境がそうさせたのでしょうか。何がLEAPするきっかけになっているのでしょうか。

学生の皆さんに「こうすれば良いよ」というものがあればいいなと思っています。

もしそれが才能だったり、特殊な事例だったりすると「凄い人がいるな、自分とは違うな」で終わってしまうのですが、それが誰でもできるものであれば、ぜひ皆さんの参考に挙げていただければうれしいです。

牧浦:親の影響もあると思います。「人と同じことをするな」というのはよく言われていました。ただ、これは皆さんでも参考にしていただけるんじゃないかなと思います。

それこそ、ここ数年でAI革命などで誰でもできる仕事がどんどん無くなると言われていますよね。

戦後は仕事ってみんなあまり変わらない仕事をしていたと思いますが、今は「個性」が本当に大事だと感じます。

まずは、人と違うことをやる。それが個性になっていき、仕事じゃなくてもそれが自分の生きがいになってくると思うのです。

だから、かなり意図的に「人と違うことをやる・言う・考える」ということを徹底しています。「キミ、変だね」と言われるぐらいまでやっています。

僕は、1人でいる時は全然普通です(笑)でも敢えて違うことをやろうと自分に言い聞かせるようにしていますね。

井上:非常によく分かりました。それがある意味、マイルールの一つになっているわけですね。

牧浦:「人と違うこと」から派生すると、まさに村上さんもおっしゃっていたように「何で?」ということもすごく考えます。

例えば文科省の方が、小学校のプログラミング導入の話をしていますが、「何のためにやるの?」という所を疑ってみる。

すると、簡単なフロントエンジニアや、簡単なアプリが作れるぐらいのエンジニアはAI革命で代替されるのではないかと思うのです。いわゆる一流のサイエンティストになれるような人は一握りじゃないかと。

そういった、将来無くなる可能性のある仕事に必要な知識を今から教育するのに何の意味があるのか。

そういったことを常に考え、話し、行動に移すようにしていますね。

井上:では、村上さんお願いします。

村上:私も土雅さんと、かなり近いです。逆張りをする、つまり他の人と違うことをやる、ということはかなり意識しています。

そういう意識が身についた理由の一つは、周りの大人や先生に恵まれ、小さな出来事が積み上がってきたからだと思います。

例えば、社会科新聞って、今の学生も書きますか?チームで色々調べて模造紙一枚にまとめて発表するような取り組みです。

小学一年生の頃、他の生徒はほぼそのまま本を引用して、文字を転写するだけといった形式が普通でした。そこで、私のチームは初めて編集をしたことでとても先生に褒められて、「人とは違うことをするのは、良いことなんだな」と感じました。

他にも、「二酸化炭素で地球温暖化が進んでいますが、それを解決するためにはどうすればいいでしょうか」というお題があり、私は「人類が滅亡すれば良い」と書いて提出したんです(笑)

先生によっては「バカなこと書くんじゃない」という方もいるかもしれないですが、「考え方としては良い」と、取り上げてくれたりもしました。

そういった、小さな体験が積み重なり、だんだん思考の癖や習慣に繋がっていったんだと思います。